夏の特集・パート@ 墜ちたスーパーゼネコン鹿島
羽田国際空港D滑走路の不法工事
警視庁組織犯罪対策3課が家宅捜索7か所
「初めから危(やば)い仕事というのは、判っていましたよ。そりゃ、この業界長いからそんなことくらいは判りますよ。ただね、そうと判っていて何故、その仕事を引き受け、実際にやったのか。誰だって危ない橋は渡りたくないもんな。けれどね、うちはそうと判っていた仕事を引き受け、やりました。その理由は一つだけ。
その仕事の依頼主が、あのスーパーゼネコンの筆頭である、鹿島だったからなんだ。
あの鹿島からの依頼であれば、多少の危なっかしい仕事だって引き受けまさあ。それも鹿島のしかるべき立場の中堅幹部からの依頼だからねえ」
こんな告発を始めるのは、横浜の土建会社、S企画の代表、T氏(S氏)である。どうも東京湾羽田沖でとんでもないことが起きているようなのだ。T氏は続ける。
「その鹿島依頼の危い仕事をやったはいいが、あのゼネコントップの鹿島は、今になって、もっと言えば、やばいことが表になりそうになってきた途端、自分達は何も関係ない≠ニいう姿勢に翻ってきたんだ。その時点で、うちはまんまと梯子を外された、ということだ。しかし、そんなことあっちゃいけねえ。うちらとしてみればもう赦せない、なにもかも洗いざらいぶちまけちまえ、っていうわけでさ……」
告発の動機としては判り易過ぎるところであるが、その鹿島の中堅幹部が依頼したというやばい仕事≠ニいうのは、一体どういうものか、それをした挙げ句現状にどのような影響が出ているのであろうか、それらは最も関心の高まるところに違いない。ここで、ある一方の答えを述べてしまえば、目下、その件のやばい仕事が生んだ結果は、『国土交通省において今抱える最大の難題』(国交省空港建設部門幹部)にまでなっているのである。
まずは、その難題を産んだ仕事というものが具体的にどんなものだったのか、そこから触れていくこととしよう。
T氏が代表を務めるS企画がその仕事≠鹿島の横浜支店幹部A(※淡島雅男)氏から打ち明けられたのは、昨年の冬前のことだった。ここでそのときの両者の立場を解説しておかなければならない。実は、それこそ、今起きている問題の根幹部分なのである。
八年前から始まっていた一大国家プロジェクト、すなわち『羽田空港滑走路拡張工事』。東京湾羽田沖に埋め立てによって二本の大滑走路を増設するという大事業である。総予算数兆円の大プロジェクトである。この規模のプロジェクトは近年でも最大規模である。
この大プロジェクトの総責任者(つまりJVの先頭)が鹿島で同社の常務取締役である峰尾隆二氏である。片やS企画の方はといえば、この大プロジェクトの下請けとして鹿島横浜支店の下で日夜埋め立て工事に携わっていた。ちなみに鹿島横浜支店は場所柄、空港拡張工事の中心的ポジションにある(無論今でもそうである)。先の峰尾常務も同支店を管掌している。そのときプロジェクトにおいてS企画を束ねていたのが、先に登場させておいたこの横浜支店のA氏だったわけだ。プロジェクト内の順列で言えば、峰尾常務、横浜支店A氏、それにS企画という形になろうか。ただし、この時、S企画は、T建設業協同組合という名前で下請けに入っている。(※このようなパターンはままあるらしい。要はより多くの中小零細業者が大きな工事に携われるようにする方法のようである)
このようなそれぞれの立場があった。
二〇〇八年十月二日のことである。この横浜支店は、プロジェクト工事と平行して、山下公園で有名な横浜山下町の再開発事業にも取り組んでいた。(このようなこともよくあることらしい)その事業であるホールを解体した。山下公園向かいにある中規模以上のホールである。解体するからには当然、ガラなどと言われる廃材など大量に出る。
実は、この出た廃材が、件のやばい仕事≠フ最重要ツールになる。
その仕事は、鹿島からO(大沢運輸)という産業廃棄物運送会社を通して密かに要請、依頼された。この際の伝達ルートは問題ではない。最初に言っておくが依頼内容が依頼内容だったので、受けたS企画側は、鹿島に確認しているのである。
「鹿島のA氏は、要請を認め、はっきり、よろしく=Aといったからね。またA氏は、この件は、A氏の上の最高幹部まで周知、ということを言っています上というのは、横浜支店幹部のAB氏(阿部洋)、そして、最高幹部の峰尾氏(前出)です。私たちは彼等にもちゃんと会ってます。ここまで確認したんだから、まあ、安心して請け負ったわけですわ、このやばい仕事≠…」(T氏)。
たしかにここまで判れば、業界ガリバーの鹿島のお墨付きを得た、とS企画側が納得したのも無理はない。
そして、肝心のその仕事とはなんだったのか。
「山下町再開発事業で出た廃材、ガラを密かに誰知れずに、滑走路の埋め立ての骨材(埋め立ての土台。もちろん、海に流し込む)に使え、という驚くべきものでした。これは、はっきり言って御法度、犯罪行為です。発覚すれば大変なことになります。それを、なんとプロジェクトの親玉トップが密かに依頼してきたんです。やばいなんて言うものじゃないが、私たちは引き受けました」
ここでT氏が興奮気味に言うようにこの依頼は、犯罪行為≠サのものなのである。
というのは、このプロジェクトは、これまでの埋立工事のパターンは踏襲していないのだ。
その異例の最たるものは、埋立資材の厳選とそれに伴う国交省への事前届け出、事前承認(使われる資材の審査とも言うべき措置)の義務づけである。これまでのように好き勝手に埋立用として訳の分からない土砂などを海に放り込んではいけないのである。
それは、このプロジェクトが一級河川多摩川の河口で行われることに依る。多摩川は、東京都と神奈川県のボーダーを構成するが、擁する生態系は非常に豊饒で自然観測の観点からも実は希有な存在なのである。この生態系、もしくは水体系を確保するためにこのような事前承認のような異例の措置が執られているのだ。大工事によって貴重な多摩川の生態系が破壊されないようにとの措置なのである。
故に、なにが混じっているか判らない建築廃材などを放り込むなどと言うのはもっての外なのだ。これは業者にとって確かに負担になる。しかし、それは鹿島のような元請け業者にしてみれば当然織り込み済みのことであろう。
何故、鹿島側はこのような判りきった犯罪行為≠危険やリスクを承知でS企画に依頼してきたのであろうか?
「答えは簡単明瞭、埋め立て工事が予定通り進んでいなく、滑走路の建設が大幅に遅れそうだったからです(※滑走路の竣工予定はその年の十月)」(同)。
このような国家プロジェクトにおいての工期の遅延は、受けた会社にとっては大変な失点となる。信頼も大きく失墜する。これを鹿島は怖れ、やむなくやばい仕事≠フ要請となった、とT氏は分析する。
「これまでは必要なかった、資材の事前承認などは大幅に時間が取られる。ただでさえ工期はそんな縛り≠ナ遅れている。ところが、目の前に格好の埋め立て資材になり得るものが出てきた。解体廃材です。それで、こんな仕事を依頼してきたのでしょう。支店のA氏もそのようなことを言っていました。いわば背に腹は代えられないということでしょう」
なるほど、これも判り易い話である。だからといってそれがやばい仕事≠容認しなければならないエクスキューズにはなるまい。
いずれにしても鹿島からのこの闇の依頼に依る違反行為は実行された。その経緯はこうである。コトは二〇〇八年十月後半に行われている。
今年の鹿島を占う!
ピンチをチャンスに、機会を逃がすな…渥美
同年十月初めに解体工事によって出されたガラ・廃材は一旦、横浜市の南部東京湾に面した同市金沢区鳥浜というところに置かれた。そこ(鳥浜)の岸壁で『第38さだ丸』というS企画のいわば配下にあるMという船会社の輸送船(トリミー船)にそのガラを積み込み、今度は対岸の千葉県袖ヶ浦までそれを搬送した。これは違法行為発覚阻止の攪乱である。どこからその資材が出たのか判らないようにしたのである。
その上、この船はこの一連の航行において義務づけられているGPSの発信を一切切っていたのだ。羽田空港拡張事業は国家的な重大プロジェクトだけに埋め立て地に不審な船が入り込まないように付近を航行する船にはすべてGPSの発信が義務づけられている。かなり厳重なのである。ところがその義務を果たさないで、この『第38さだ丸』はさらに違法の廃材を積んだまま埋立地域に入り込んだ。
そして、そのまま、その違法廃材を、埋立地海中(正確には拡張工事現場第4工区)に投じ入れてしまったのだ。その量980立米!
この一連の違法行為は、みなこの大プロジェクトの共同事業体代表である鹿島の指示によって行われたのである!ここまでの危険な仕事である。S企画の言う『鹿島のお墨付きがなければ到底やれるものではない』、という言葉は、確かに説得力があろう。
この件に絡んで、その後の展開も全く耳目を疑うようなことばかりが起きているのである。
S企画側はこの一件について対価を鹿島側に求めた。当然であろう。危ない橋を渡りもしたのだ。するとすったもんだの末だが、鹿島はほんのわずかな報酬(一二五万円)をダミー会社N(日栄興業・横浜)を通じてS企画側に払い込んできた。
これだけでも鹿島がこのやばい仕事≠指示したことの証左となろう。
が、「しかしその金額は余りに少なかった。最初の話と全然違っていました。そのこと申し立てたら、今度は想像もしなかった対応をしてきたのです。あの鹿島が、です。今でも信じられません…」
その対応とは?
「その年の四月二十二日に、ある広域暴力団の幹部を名乗る人物からコンタクトがあって、この件の鹿島に対する主張はするな、というような要請をしてきたのです」
この驚くべき対応の時にその暴力団幹部は、鹿島のオーナー(渥美)やその親戚の首相経験者の名前を出し、そこから頼まれた、とまでいっているのだ。そのやりとりのテープは存在している。どのように取ってもこれは強引な口封じであろう。
こんなコトが一大国家プロジェクトの進行中に起きていたとはにわかには信じがたい話である。が、これは実行者、当事者による悲痛な告発に基づくものである。
しかも、今でも新しい滑走路が創られている。しかし、その下、海中には、禁断の廃材が980立米も埋まったままなのだ!
S企画側からは恐ろしい口封じにもめげずこれまでにも数度鹿島に業務の確認を求めているが、当の鹿島側は、「そのような仕事については一切知らない、S企画のことは存在も知らないし、仕事を発注した経緯もない」としているのだ。すなわち、鹿島の言い分は、件のやばい仕事≠ヘおろか、S企画との関係性の一切をない、としてきたのである。むろん、それは、羽田空港拡張工事についても同様であるのだ。
この何ともドラスティックとも見える否定には唖然とさせられる。現にS企画側は、関係性を示すエビデンスは有り余るほどある上、筆者もそれを確認しているのだ。だから、その上でS企画側は、「とんでもない。これが業界のリーディングカンパニーがすることか!なにもかもぶちまけてやる!」ということになった展開には、十分首肯できるのである。むしろ、至極もっともな告発と認められるのだ。
他方、当の鹿島は、筆者の取材に長いインターバルをおいた上、未だに明確な事情について述べてきていない。どういうことなのか。
鹿島はこの重大なる請負違反の疑惑と当事者の告発にどう答えるのか。国家プロジェクトの共同企業体の代表として、頬被りなど到底許されるはずはない。
また、この一件は国交省の方でも一部認識し始めているようで、冒頭にも触れたように同省はこの問題の収拾に懊悩しているのである。問題の拡大化はこの先必至である。
さて、今年の鹿島。
この会社の創業者は鹿島岩吉という江戸時代の大工さん。鹿島岩吉さんを初代社長と数えれば、現時点で鹿島の歴代社長は11人。鹿島家出身では、平成2年に退任した鹿島昭一氏を最後に、3人連続で外部の人間が務めている。
本紙が指摘する鹿島の大ピンチを乗り切るためには、もはや大政奉還しかないということか。ちなみに、次期社長と目されているのは元首相の中曽根康弘氏が義父の渥美直紀副社長であるのだ。
蜜月終えた忠告は他人事
鹿島の危機管理はヤクザに劣る
業界最大手といっても所詮、土建屋。スーパーゼネコンなどとオブラートを掛けてみても、その実態は百数十年も前からやっていることとなにも変わってはいないのだ。
つい一ヶ月前にヤクザの世界から足を洗った大竹次郎は、足掛け二十年余りの間やってきた鹿島との関係をここで清算しなければならないことを承知していた。それはある意味自らの活路を断つことでもあったが、仕方ない判断だった。
大竹次郎は、この事件が明るみに出る前に、金子(宏・鹿島副社長)にハッキリ言ったのだ。
『金子さん、長年のなかだからこの際、遠慮なく、老婆心ながら言わせてもらうが、羽田≠フ件は、この先大きくならないうちに納めておかなければ、大変なことになるよ。今起きていることを甘く見てはいけないな』
これに金子は、大して反応を見せなかった。大竹はそんな金子が歯痒かった。この件は拗れたら大きくなるに違いない。それこそ一定期間の指名停止や業務停止などのようなところで納まる話ではない、大竹次郎はそのことを心配していた。
大竹にとって見れば、自分の食い扶持がなくなるようなものである。食い扶持の元になにかあるということを回避しなければならないのは、大竹にとって至上である。しかしながら当人達はいずれも太平楽を決め込んでいる。
『危機管理というものがまったくできていないようですね。そうそういつもセーフ、なんていうことはありはしないのですよ』。大竹次郎は、鹿島の首脳が時折見せる他人事のような脳天気な表情に少々うんざりしながら口を酸っぱくしてこう言ってきた。
鹿島建設の法令順守の中身
主役となった下請け佐藤“の正体
佐藤信はかつて横浜の有力暴力団にいた。「なにもない」東北の片田舎から東京に出てきて、「なにも」することがなかったからその暴力団に入ったという。今ではそことの繋がりはまったくないというが、暴力団という特殊組織が佐藤に残した影は拭いがたい。その魁偉なる容貌もさることながら、極端なまでの虚栄心、話し方、果ては一挙手一投足に到るまで、暴力団員のシミがつきまとっている。
佐藤は平気でウソをつく。それもすぐに判るようなウソが多いのだ。どこかで聴いたようなことを自分のこととして言う。
『オヤジ(故・後藤田正晴元内閣官房長官)の代わりに(刑務所に)入ってきた』、聞いている者の頬が思わず赤くなるようなウソが佐藤の口から連発される。
佐藤はその体形から、『ブー』と呼ばれている。さすがに本人を前にしてそんな言い方で呼びかけるものはいないが、いないところでは、知る者誰もがその呼称を使う。年を取ってかつての体形は萎んできたものの、かつては確かに『ブー』そのものといってよかった。丸顔、ギョロ目だが斜視、ふくらませた風船のような腹…。そうであっては、誰もが『ブー』と言いたくなろう。但しその風貌が、佐藤を多少とも憎めない損座にしていたことも確かである。明らかなるウソも実害がなければ、やはり許されていた。「『ブー』の言うことだから…」、そんなにが笑いが伴う。
そんな佐藤であるが、今回の一件は本気だった。嘘吐きでもなく、また、『ブー』でもなかった。
わたしは約十年を経て再会した佐藤と見て、思わず、変わりましたね=Aと言ったくらいである。それほど変わっていた。切羽詰まった緊張感が容貌に浮かび上がっていた。かつてはそのようなものは瞥見できなかった。『ブー』が持つ雰囲気はどこにもなかった。ただし、斜視だけは治っていなかったが。
もはや『ブー』ではなくなっていた佐藤は、ソファーに腰掛け、わたしを上目遣いに見た。
「元気でやってんの」、そこだけは相変わらずの東北訛りがあった。言葉に鈍い重みが感じられる。
その声を聞いた時、わたしは甦るものがあった。あのときの電話の声だ。
『オレはどこへ行っても怖くねえゾ』
それは、その後、あの決定的なCD-Rとなって、この世に永遠に残されることとなる。
香川県警の捜査放棄と冤罪捜査(その124)
連載掲載の動機は腐敗警官と若林組の癒着
桃栗3年、柿8年。深刻な腐敗構造の捜査は10年だ。
平成15年に始めたこの連載も、驚くなかれ来月で125回目の10年だ。
「国滅ぶとも正義は行おべし」
本紙川上が、この信念の言葉を知ったのは平成15年3月。
高松高検の宗像紀夫検事長が名古屋高検検事長に異動となった2月、喫茶キャベツの小倉氏に「人生意気に感ず」と「国滅ぶとも正義は行おべし」の色紙2枚を記念に渡した内の一つである。
今では、本紙川上の「座右の銘」だ。
「人生、投げたらいかん。ドント・ギブアップ。絶対に諦めたらいかん」
さて、平成25年度の上半期は来月9月で終わる。なるほど、10月という下半期は新しい時代を迎えるということか。
先(7)月4日、警察庁刑事局組織犯罪対策部企画分析課長や大阪府警副本部長などを歴任した鶴谷明憲氏(56)が四国財務局長に就任した。
鶴谷局長は警察庁からの出向で、同庁出身者が四国財務局長に就くのは初。他省庁でのトップ就任には、組織運営に関しては「他の出先機関との連携や情報発信に力を入れる」との考えを表明した。
また同(7)月25日付には、佐賀県警組織犯罪対策課長などを経た警察庁人事課課長補佐の山本哲也氏(46)が香川県警警務部長に就任した。
実刑が続く山口組の執行部 高山若頭は収監を察知で入院か
東京・八王子市のスーパーナンペイで女子高校生ら3人が殺害された事件から、先月30日で18年。事件数日前から、客を装った中国人とみられる男が店の下見をするような姿が、たびたび目撃されていたというではないか。
一方、五代目山口組若林組の川原豪組員が平成9年11月29日夜、本紙川上の家族が2階自宅で団欒中に(家族に向けて)拳銃を5発も発射した事件は16年近くになる。事件数日前には、本紙川上宅の下見をするような若林組の川原豪組員の姿がたびたび目撃されていた。
八王子ナンペイ事件も、本紙川上宅襲撃事件も共に時効は撤廃されているので、捜査機関の事件解決への燃えるような決意は半端ではない。
さて、本紙川上に向けて拳銃の発射や鉄パイプで襲撃した犯人の現状はどうなのか。
平成9年の拳銃発砲犯・川原豪は、組からの偽装除籍で高松市の瓦町南古馬場でバー「バルエ」や「グローバルメディア」、それに風俗店などを幅広く経営して資金も潤沢だ。子供も生まれて万々歳か。
平成12年の鉄パイプ襲撃犯・山中敏勝は別事件(拳銃暴発死亡)で出所後、六代目山口組二代目若林組若頭補佐の現役で闇金が稼業のようだ。
平成18年3月7日夜の拳銃発砲犯・森裕之は、高松地検から殺人未遂罪で懲役20年を求刑されたが高松地裁で懲役15年の判決。後8年の平成33年まで刑務所暮らしだ。単独犯を組から引き受けたものの、割に合わない役回りであったことだけは間違いない。
続けて、六代目山口組の現状を、「週刊実話」の8月1日号から探ってみよう。
死者2名を出した「埼玉抗争」で、組織犯罪処罰法違反に問われている二代目小西一家の落合勇治総長に対し、無期懲役が求刑された。想像以上に重い求刑に、山口組関係者の間に衝撃が走ったが、その前日にはもっと衝撃的な情報が駆け巡っていた!
《「高山若頭が緊急入院したらしい」
こんな衝撃情報が本誌編集部に飛び込んできたのは、7月7日の夜だった。(中略)
「…7月7日に京都市内の病院に入院したのは事実だが、約2週間で退院する予定になっているはずだ。持病の経過観察のような意味合いで、緊急でも何でもない。…」
(中略)高山若頭は、今年3月22日に懲役6年(求刑10年)の有罪判決を受け、大阪高裁に即日控訴し、同日に保釈されている。
このため、高山若頭の控訴審がいつ始まるのかが注目されていたが、今回の入院がその“準備”であるとすれば、「早ければ今秋、遅くとも年内には開かれるはず」(同)
とされていた控訴審の開始が“意外に早く迫っている”ということかもしれない。》
なるほど、高山若頭は懲役6年の控訴審を迎えなければならないのか。
本紙川上の頭に今、この「ことわざ」が浮かぶ。
「風が吹けば桶屋が儲かる」
ある事象の発生により、一見すると全く関係が無いと思われる所・物事に影響が及ぶことの喩えだ。
平成16年秋に本紙川上が盛力健児会長との交渉で、二代目若林組篠原組長ら4人の提訴はそのままで、五代目渡辺芳則組長だけの使用者責任を取り下げたことがある。
当時、若頭補佐であった司忍組長が渡辺組長だけの使用者責任取り下げに異議を唱えた。「我が(五代目)だけ、保身で取り下げとはヤクザでない。盃交わした篠原を庇うのが筋やないか」
この考え方で根回しし、平成17年6月にクーデター、そして8月に六代目が誕生した。
今の六代目山口組の逆境は、二代目若林組篠原重利組長と癒着していた香川県警腐敗組とを山口組本家の懐に抱き込んだことに原因がある。
構図からすれば、腐敗警官の一掃を目指す警察庁が、一掃を阻害する六代目山口組の一掃に力を入れるのは必然。
六代目山口組が香川県警腐敗組と一緒になって警察庁に喧嘩を売ったようなものだ。
山口組新報と四国時報
六代目山口組の足を引く飯田倫功会長
スクープ!
山口組が「新聞」を発行
三代目時代以来の極秘
紙面内容をスッパ抜く
これは、週刊実話の7月25日号。本紙5月号「山口組時報と四国時報の関係 六代目司忍組長が機関紙に着目か」の2か月後の創刊だ。
本紙川上にとって、この時期に六代目山口組が機関紙の創刊とは、何か深い意味があるのではないかとつい危機感を募らさざるを得ない。
なぜなら、六代目山口組直参倭和会の飯田倫功会長の企業舎弟である木下俊明(四国時報)編集発行人から、脅迫ともとれる嫌がらせを1年半余りも本紙川上は受け続けているからである。
続けて本文から司六代目の文章を引用する。
《このたび「山口組新報」が
発行されるにあたり、私の愚見を述べ、組員各位の今後の活動の指針となれば幸甚に思います。
人生は二度なし「禍福終始を知って惑わず」
(中略)今は何が必要か?今何ができるか?を考え、常に危機感と好奇心を持って過ごしてきました。》
今何ができるか?とは、まさか隠語で「今こそ川上を殺せ」ではないでしょうね!
兎に角、山口組の足を引っ張る直参は整理した方がいいのではないでしょうか。
本紙6月号のスクープ記事
浜田知事の出番か?院長の妻は宗教法人教祖
まず、先(7)月29日付毎日新聞から。
《東京都新宿区の歌舞伎町周辺の外国人らを多く診察していることで知られる「アスカクリニック」の山中秀?院長(52)が東京国税局の税務調査を受け、2011年までの7年間に約3億5000万円の申告漏れを指摘されていたことが分かった。このうち、約2億9000万円は所得隠しに当たると判断された模様で、追徴税額は重加算税などを含み約1億5000万円。山中院長は既に修正申告したとみられる。》
次に、本紙6月号の二面、「暴力団御用達の病院にスポットを前現両知事も承認の悪徳医者と弁護士」
《…その病院内では何が行われているのか。
「決してわからない。(病)院長の細君は尼僧で、この病院の理事長だかなんだかやっているようですが、なんと一方で、宗教の教祖でもあるのです(!)法外な医療代は、宗教法人の方に流れ、それで税金だってまんまと逃れているんです」(前・同)。
税金の面はどうにもわかりようがないものの、それでも何もかもが奇天烈で奇想天外な病院には違いない。暴力団御用達というだけで、はじめからその存在は特異なのだ。》
さらに、本紙平成24年11月号「お賽銭泥棒」から馬脚真鍋・浜田両知事が墓穴を掘る
《宗教法人宇宙真理学会の代表役員は小松登志子さん。長野県千曲市の小松商店の監査役である。父の小松富喜氏は小松商店の代表取締役ではあるが、宗教法人には他人の名義借りをしても名を連ねていない。
明らかに、税法に精通している人物が裏で指南しているのではないかと想像するほど脱税の手口が巧妙である。
長野県の農産物を加工販売する小松商店は、農水省キャリア真鍋武紀前知事の管轄。
香川県多度津町に本部を置く宗教法人宇宙真理学会の脱税疑惑は、財務省の税務大学校長であった浜田恵造知事の専門分野だ。
こうなれば、真鍋前知事と浜田現知事が二人して、非課税のお布施で脱税させた「おさい銭箱」に手を突っ込んだ「お賽銭泥棒」と同じではないのか。そのお賽銭泥棒が、二代も続き香川県知事となれば、本紙川上としても黙っているわけにはいかない。
「香川県民に代わって両知事を成敗致す」、だ。》
あぁー、香川県の知事とは、県民として情けない限りだ。
鹿島と西松の営業工作は相似
東北の「天の声」を洗えば真相解明に
まず、先(7)月16日付朝日新聞から。
「東電用地買収に裏金疑惑青森の核燃料中間貯蔵施設
西松建設、2億円肩代わり」
《東京電力が青森県むつ市に建設中の使用済み核燃料中間貯蔵施設をめぐり、2007〜08年に西松建設の裏金2億円で用地買収工作を進めていたことが、関係者証言や西松建設の内部資料で分かった。
(中略)買い上げ交渉を、東電役員と付き合いがあった警備会社{ニューテック}(青森県六ケ所村)の白川司郎会長に依頼した。
白川氏の周辺関係者によると、白川氏は買収前、「トンネルを通すと費用がかさむため、自分が東電から相手方との調停役を頼まれた。数億円かかる」と話していたという。
朝日新聞が入手した西松建設の内部資料や、同社の石橋直副社長(当時)の証言によると、東電副社長だった清水、鼓両氏が07年11月ごろ、西松の国沢幹雄社長(当時)、石橋氏と東京・新橋周辺の飲食店で面談。
(中略)買収工作が完了した後、ニューテックは10年までに、施設の警備業務を数十億円で受注している。》
朝日新聞の記事には、村山治編集委員の署名がある。参議院選挙中で衆参ねじれが解消されるであろうこの時期の記事に、本紙川上は重大な関心を抱かざるを得ない。
なぜなら記事の展開先には贈収賄事件が待ち受け、そして核燃料再処理(六ヶ所村)や中間貯蔵(むつ市)から、一気に核燃料廃棄物の最終処分に政府が方針を打ち出す地ならしと捉えたからである。
要するに方向転換ではなく、従来からの隠れた方針であった香川県直島町の三菱マテリアル寺島を、核燃料廃棄物最終処分場として正式に浮上させるということだ。
2013年の参議院選挙は、21日の投開票で自民党が圧勝し衆参ねじれ国会は終わった。
日本も、いや日本人も、東北大震災から派生した原子力問題に、否が応でも正面から向き合っていかざるを得ない時期を迎えたということである。
ここに出てくる白川司郎氏は、平成15年まで東北で鹿島に「天の声」を聞かせていた自民党の三塚博元蔵相の秘書(名刺使用)である。
また、警察OBの亀井静香代議士の金庫番も務めていた凄腕で「永田町の怪人」とも揶揄される人物でもある。香川県観音寺市出身とあって同郷の本紙川上との出会いも古く、昭和57年の夏ごろ、高松市の丸点通運ビルに入居していた三菱建設(武田所長)事務所が初対面だ。
さて、検察や警察の不祥事ばかりが目に付くこの時期、日本の将来を見据えるなら、しっかりと事件の本質を見極めていかなければならないはずである。複雑なバラバラの事件を無関係な事件と捉えず、惑わず、枝葉を切り落として本質を追っていけば真相は必ず浮かび上がるはずである。
ここで、4年余り前の平成21年4月号本紙に目を通してみよう。
「西松建設」の献金疑惑
東北と四国の裏ガネ工作は同根
《西松建設の政治家への巨額裏金献金は、東京地検特捜部によって小沢一郎・民主党代表の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法の違反事件として表に噴き出した。
続けて、西松建設の献金疑惑は、自民党の二階経済産業相にまで類焼しそうである。
日本を取り巻く世界の流れを考えると、この際、徹底的に膿を出し切る必要がある。それも今この時期に、徹底的にである。
さて、東北で展開していた西松建設の裏金ばら撒きの構図は、何を隠そう、ここ四国がルーツなのだ。それも、香川県高松市が。
今回逮捕された西松建設の国沢幹雄前社長を挟んで、金山良治元社長も、そして、現在の石橋直社長も四国支店長の地位にあったのだ。
すなわち、今回の事件を深く読み解くためには、西松建設の営業戦略の本流である、金山・元支店長、石橋・前支店長の営業路線を解明しなければならないのである。
ここで、本紙の四国タイムズでなければ知りえない、西松建設の闇の営業戦略にも触れてみよう。
それは一口に言えば、指定広域暴力団・山口組の闇勢力を営業戦略に取り込む、ということ。山口組若頭補佐の寺岡修・侠友会会長が、西松建設の梅枝世司氏の身内ということになれば、それは頷ける。
東北でも四国でも、他に裏社会に絡まる地域があれば、梅枝氏が西松建設の各支店次長の名刺を使えば済む話だ。
要するに、西松建設は、自民党も民主党もヤクザも利用していたということだ。》
事件後、梅枝(ウメガイ)氏は、なぜか西松建設の四国支店長に就任した。
ここまで書き終えて、鹿島と西松建設の談合の協力関係が本紙川上にはハッキリと見えてきた。それも、平成15年という年を節目として捉えて時系列で整理すれば、まるで香川県の腐敗構造が日本全体にまではびこっているのが一目瞭然だ。
なるほど、日本の停滞の原因である腐敗構造はこうなっていたのか。オリーブ・オペレーションが平成15年に立ち上がり、10年かけて香川県の腐敗構造を精査し、根気よく捜査を続けてきた意味が本紙川上にも分かってきた。香川県の本紙川上が関わる個別事件を、日本の縮図として捉えて日本の再生を目指してきたオリーブ・オペレーション。
なんと素晴らしいことか。
「国滅ぶとも正義は行おべし」、本紙川上の座右の銘だ。
鹿島も西松も目を覚ませ。
創立時の苦労に心を馳せ、原点回帰を目指そうではないか。
原発の生みの親でもある中曽根康弘大勲位の二女が、鹿島の一族・渥美直樹副社長の妻ともなればなおさらだ。
香川西高の改革阻害者は誰だ
三豊市と四国学院の裏側で蠢く影
これでもかこれでもかと本紙が繰り返し連載で香川西高校の改革を促すが、三豊市も四国学院も一向に取り組む気配さえない。
香川県や三豊市からの補助金、それに加え四国学院からも資金援助されているにも関わらずだ。
学校教育という本来の使命を放棄して、表面的に学校運営を維持していくだけの補助金投入は、納税者を欺く行為ではないのか。
誰が香川西高の改革を阻害しているのかに的を絞って、本紙は徹底的に原因を究明してみよう。なにやら利権に群がる影が東京から見えてくるようだ。
今回も、香川西高校の教育現場の現状を記そう。欠課補充では、どうかばっても香川西高の課外授業は非常識だ。
閉鎖的な環境では時に常識が通用しない。他県では常識でも香川県では他県のような常識が通用しないということは香川県は閉鎖的ということだ。閉鎖的な環境という点では学校も同様で、世間から見て非常識なことが内部では常識として罷り通っていることがある。
たいていの高校では長期休業期間に成績不振者に補習を行っている。高校は義務教育でない以上、規定を満たさなければ進級や卒業はできない。長期休業期間中にも登校を課せられれば、甘くないことを自覚するはずだ。
本号が出る8月5日は香川西高校も夏季休業期間中である。野球が初戦敗退し、終業式後の応援体制を組む必要がなくなったにもかかわらず、夏期休業期間中の補習を行っているという話も聞かれなければその様子もない。
昨年9月号でも触れたが、香川西高校では長期休業期間中の補習がない一方、第一土曜日には成績下位や欠席者等を中心に指名して3時間の「課外授業」と称する授業を実施し、欠課補充に充てている。成績下位者のための課外とは聞こえはいいが、そのカラクリの非常識ぶりには呆れるばかりだ。
カラクリとは仮に第一土曜課外1回・3時間に出席した場合、11ないし12教科で各3時間の欠課補充を認めてしまい、33〜36時間・ほぼ7日分の欠席補充になってしまうのである。規則がこうだと主張する職員がいそうなものだが、教務内規が異常なのであって、出席時数が十倍以上に化けるなど誰が見ても非常識そのものだ。これは怠学者に対しては学校に出てこなくても(授業料さえ払えば)単位は認定しますよと言っているようなもので、学校の使命である勉学はどうでもいいという姿勢の現れだ。