県内におけるさまざまな巨悪事件を噴出させてきたのは、一部の悪徳警察官と暴力団、それに金融機関の三者が、お互いの欲望もからませながら、引き起こしてきたものだ。
とくに、悪徳警察官と暴力団組長の癒着は目に余るものがある。加えて金融機関がカネにものを言わせて後押しするから、手のつけようがない。
しかも、県警の幹部や監察機関も知っているはずであるのに、長いあいだ、追及しようともしなかった。
この異常事態を見るに見かねて警察庁が、県警に対し早期の解明と刷新を求めてきた。一方、香川銀行には金融庁が解明に乗り出してきた。
結果を大いに期待したい。
暴力団に香川銀行も加担
わが香川を取り巻くあらゆる情勢が急雲風を告げている。
香川県警、県行政、金融機関、そして、暴力団に至るまで。全ての関係者は、こう告げている。
今年一杯でこの県がひっくり返る!
これらは全て単一で動いているわけではない。むしろ、全てが密接な関係を保ちながら動いているのだ。つまり、一見何ら関係がないと見えるそれぞれの一団が、実はひとかたまりとなって県民の生活の上に君臨していたのだ。つまり、これまでは、このひとかたまりが香川を牛耳ってきたといっていい。
ところが、このかたまりに次々と綻びが見えてきた。最初はごくごく微少な綻びだった。しかし、その綻びを応急的に覆い隠していたために、次の綻びが傷口を広げ、その処置をしている最中にまた新しい傷口が開いてくる。そうこうするうちに以前施術したはずのかさぶたが破れ、ここを先途と新しい血が吹き出る。ここ十年近く、香川は、これを繰り返してきた。そして、今や県を牛耳ってきたはずのかたまりの至る所から血が吹き出て、そのかたまりは血浸しの状況になってきたのだ。まさしく崩落の前日を迎えたのである。
この状況に目を背けてはいけない。そして、私たちは、それらをもっとミクロに見ていかなければならないのだ。
香川県警には、今でも有力暴力団の用心棒≠ェ堂々と現役でいる。それも一人ではない。典型的なある者を中心に彼らは県警のもう一つの勢力を構成している。一時はその勢力にあらずんば警察官ではない、と思われるほどの権勢をその一派は奮っていたのだ。
今更説明の要はなかろうが、その勢力の長たる存在が、香川県警本部捜査一課刑事調査官の津島利夫警視である。一方、この津島警視と肝胆相照らす仲を自他共に認じていたのが、山口組直参の若林組若林ワ前組長(故人)だった。
どのような場合もそうであるが、警察官と有力暴力団がスクラムを組むと、文字通り「怖いものなし」である。その間には、警察官の特権である事件つぶし≠ェ横行し、暴力団からは、それ相応の饗応≠ェある。いったんこの甘い汁を吸ってしまえば、警察官も暴力団も速やかに一体化してしまう。津島警視は、これまでに、数え切れないくらいの若林組による凶悪事件を闇に葬り去ってしまっている。
殺人未遂、暴行、金融機関を使った不正融資、つまり浮き貸し、行政への圧力、不当逮捕、冤罪…、逮捕令状交付にも執行を回避させもしている。もう枚挙に暇がない。
これによる“饗応≠フ額たるや、優に億を超越している。
警察庁の勇気ある決断
この事態を中央が看過するはずがない。各警察本部の上に立つ警察庁は、香川県警のこの非常事態を捕捉していた。そして、ここに来て大きな機構改革、つまり悪の摘出を図るべく手を打ち出したのである。その皮切りに、植松本部長を任期中途で岩瀬本部長に交代させた。
例えば、警察庁は、こんな事態を捕捉している。
警察庁監察部門のある幹部と香川県警の最高幹部との会話である。
『何故こんな明白な事件が未だに立件されていないのかね』
地元紙社主の数度に渡る事件のことですか
『そうだ。特に、道具を使ったものと明らかに殺意を持った襲撃の件だ。香川の監察の方からは、すでにマルヨウ(容疑者)は挙がっているのだがね』
しかし、その証拠が…
『証拠? そういうものがないのにマルヨウが挙がったといっているとでも思っているのか? 冗談はこの辺で終わりにしよう。分厚い証拠資料がここにあるよ』
………
『県警内部の刷新をすぐにでも図らなければいけない。岩瀬君が赴任してカッキリ二ヶ月を目安としよう。くわえて、若林組の元幹部、近藤氏の件はすでに最終審に移行している。全ての責任は県警にある。新証拠を出さなければ禍根を残すことになるよ』
地元紙社主の事件とは、いうまでもなく本紙川上社長のことである。他方、若林組の元幹部の事件とは、近藤秀三郎氏冤罪事件のことである。香川県警は近藤氏を若林組がスポイルしたがっているのを敏感に先取りして、なんと警察権力をもってそのお手伝いをしたのだ。
川上社長をめぐる想像を絶する殺人未遂という脅迫は、過去何度も報じてきた。川上社長は数度の事件に遭遇したにも拘わらず、全てのケースにおいて九死に一生を得てきた。
そして、その警察庁幹部は、こういった。
「川上社主が今でもこれまで通りの報道活動を続けているのは、現代の奇跡のひとつである」。
先の警察庁幹部と香川県警幹部との会話はまさしく驚くべきものであるが、実際に横行している県警警察官と地元暴力団との癒着に切り込むにはこうした良識ある上層部の決断なくしては何も出来ないのだ。もちろん、この警察庁からの上意下達は速やかに実行に移されている。
金融庁も動く
この警察と暴力団の癒着は、そのまま香川銀行と暴力団との腐れ縁に結びつく。
ここでは金融庁が大手術のチーフドクターとなる。金融庁の場合は、香川銀行のある最高幹部に事情を聴取している。もちろん極秘に、である。
『いくつかの融資先の実態調査を致しました。明らかに反社会的勢力への貸し付けがありますね』
“反社会的勢力といいますと?
『それを私どもの口から言わせるのですか? ……。
若林組というのは、広域指定暴力団山口組の直属の地元組織ですね? 』
“そうだと思います
『その若林組の経営する会社にほとんど担保なしで融資をしている。これは重大な違法行為ですよ。グレース、それと百十四銀行から債務の肩代わりをしている井坪建設、ホープパーキング、ブルージャパン…、もっと挙げましょうか? 』
“………
『この融資がある意志を持って為されていることの証拠を取り次第、当方としては告発対象としなければいけません。今年(2003年)十月から十二月までにその結果が出ます。しかし、このように日にちを区切っても、今さら融資を解消してもダメですよ』
“はい……
『それから、若林組は、そちら(香川銀行)との関係をすっぱ抜いた地元紙(四国タイムズ)に多くの傷害あるいは殺人に近いような脅迫をしたとの報告は当局から受けています。そのことだけはお伝えしておきますよ。もっとも私どもはあくまで金融のことだけをその監査対象にしていますから、刑事事件については四の五の言いませんがね………』
“………
いよいよ最終局面へ
県警、香川銀行、いずれの場合も若林組との癒着関係を問いつめられて、そのうちに沈黙してしまうのは、全く同じようだ。
しかし金融庁もこの“川上事件≠熟知し、それを告げているところが壮絶としか言いようがない。
一見何の関係もないような関係がこのような良識ある機関の調査によって、ひとかたまり、ということが明らかになっているのだ。
そして、いずれの場合も今年一杯で全て決着がつき、香川がひっくり返る、と断言しているのである。
政界、官界の最長老、ある大重鎮が一言いった。
「年月は積み重ねだ。痛い目にあってもよう頑張っとるよのう。しかし、変わるものは変わる」。
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