本シリーズも、一年を越す13回目を迎えた。 ここに来て捜査に携わった警察官や、暴力団幹部、それも大阪や東京、中には刑務所に収監されている暴力団関係者までもが、本紙への発砲、鉄パイプ襲撃事件の犯人グループのことを口にしだした。
また、元若林組の関係者であった安西氏や市田組員を鉄パイプで襲撃したのも若林組森組の仕業であると言い始めた。果たして本当だろうか。
本紙は被害者の立場から、腐敗警察官を紙面告発し、捜査に協力したい。
横田警部らを加重収賄で告発
[刑法第百九十七条の三A加重収賄罪]
公務員又は仲裁人が、その職務上不正な行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、若しくはその要求若しくは約束をし、又は第三者にこれを供与させ、若しくはその供与の要求若しくは約束をしたときも、前項と同様とする。
すなわち、その職務上不正な行為をした、とは冤罪捜査のことで、近藤秀三郎氏を刑務所に送り込んだ事がこれにあたる。
また、相当な行為をしなかったこと、とは、もちろん、平成九年に起きた本紙川上宅への発砲事件や十二年の家族同乗の車を襲撃し、鉄パイプで本紙川上を殺害しようとした事件を捜査放棄したことである。
本紙川上は、拳銃発砲、鉄パイプ襲撃時の恐怖を再び思い起こしながら、同じような恐怖を味わった被害者のためにも、敢えて紙面告発をする。
いままでに、本紙の記事を見て、次々入ってきていた情報を基にまとめてみた。
要はこの件につて、すでに裏社会では誰でも知っているということだ。警察やヤクザ関係者だけにとどまらず、夜飲みに出る人たちの間でも、衆知の事実である。若林組長自身がむしろ、自慢話のように扱っていた節もある。「香川県中の権力をカネと脅しで操れる、政治家でも現役の警察官でもカネさえ握らせば、言うことを聞く」と、本紙川上にも話していた。いま本紙に集まってくる情報はそういう状況下から発せられた情報であるから、信憑性があるではないか。
平成七年、香西本町の若林組長寝室ベットの下に置いていた千数百万円の現金が無くなった。疑いを掛けられたのが組長の運転手をしていた、加藤、田中、中原の三人。田中にはアリバイがあった。
加藤は「疑いを掛けられるなら体に聞いてくれ」と身の潔白を主張した。疑いを掛けられたことで、自棄酒を飲み、救急車で中央病院へ運び込まれたというから、よっぽど悔しかったのではないか。
このことで、加藤は破門になった。
中原の場合は広沢の指示もあってか、夜中、西宝町の峰山に車で連れ出され、拳銃を発射され、盗ってもいないカネの返還を迫られたという。拳銃を発射したのは、親和会への報復襲撃で逮捕され、刑期を終えて間もなかった篠原幹部と、清水幹部であったから、中原も恐怖で小便を漏らしたという。
しかし、やってないものは、いくら脅されても白状のしようがない。その後、この事件は中原の家族に知られることとなった。家族は、息子に代わって高松北署に告訴した。その告訴を受付けたのが、よりによって横田武警部補であったというから、なんとも世の中恐ろしいものである。
この時横田は、若林組長を逮捕、釈放したしたときカネを掴まされ、言わば、癒着がすでに始まっていたのである。
若林組長から、
「もし銭がいるようになったら、よその組から絶対取るな、俺が用立てする」
と言われていたことを思い出したのだろう。
横田警部補は、中原からの告訴を受けて、さっそく、御坊町のビジネス企画事務所にいた若林組長を訪ねた。
「会長、天下の一大事。こんな告訴がきましたぜ。拳銃がらみでウチ(警察)としたらこんなおいしい話はない。どう扱ったら、えんかいな…」
横田が賄賂を要求した瞬間である。
ここからが広沢の出番、腕の見せ所。
「兄貴、まかしてくれますか…」。カネで拳銃発砲事件をもみ消したことは言うまでもない。そのもみ消し料の捻出方法が広沢らしい。若林ワ組長が広沢を組長秘書役として重宝がったのは、広沢の金集めの上手さにあったと言っても間違いないだろう。
広沢は、よりによって、疑いを掛けた中原が、若林組東原幹部の舎弟であったことから、兄の東原が、無くなった組長のカネを払うべきであると言いがかりをつけ、東原幹部から六百万も弁償させた。
そして、その金の一部・三百万円をなんと、告訴した中原の家族に無理やり受け取らせ、告訴取り下げと、口封じをやってのけたのである。
本紙は、公務員の腐敗は国の衰亡にかかわる問題であるから、ここに横田武らを刑法百九十七条三の二項、加重収賄罪で告発する。時効十年。
▼平成十二年の賭博容疑者で逮捕令状を発していた篠原、宮川らの執行を放棄した。
▼平成十四年、木太町の借家に女性を監禁した事件でも、借家主の黒川らの捜査を放棄した。
警察作成の告訴が不起訴に
高松地検から、三月三十一日
付の処分通知書が本紙に届いた。内容は、
貴殿から平成十五年七月十五日付けで告訴のあった次の被疑事件は、下記のとおり処分したので通知します。
一、被疑者@川井則之
A西岡誠二B木村重利
二、罪名:殺人未遂・・
五、処分区分:不起訴
若林組広沢からの賄賂が効いたのか津島警視や横田警部らが描いたシナリオは、一応成功した。収賄した金は返還する必要はないのである。
腐敗警官の手口は、平成十二年一月十九日に発生した鉄パイプ襲撃、本来殺人未遂として扱うはずの事件を、三年で時効が成立する暴力行為で扱っていた。 巧妙なのは、殺人未遂罪を目こぼしするために、窃盗罪でこと済まそうとする念の入り方であった。
しかし、世の中を甘く見てはいけない、正義は活きているのである。
というのは今回の高松地検からの処分は、あくまで腐敗警官らが考え出した筋書き通りの告訴に対してであるからだ。
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