いよいよ年貢の納めどき迫る
本紙が前号、前々号の二号に渡って報じてきた、徳島県吉野町産業廃棄物処理工場建設に絡む疑惑追及記事は各界から凄まじいばかりの反響を得ている。
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まずは、次のふたつのすでに大手マスコミで報じられた記事をじっくりと眺めて欲しい。
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本紙が誘発した大きな疑惑
一本目の記事はこれである。
@ごみ焼却施設で裏金5億円 旧日本鋼管が地元対策費
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大手鉄鋼メーカーの旧日本鋼管(NKK、現JFEエンジニアリング)が東京国税局の税務調査を受け、2003年3月期までの3年間に計約5億円の所得隠しを指摘されていたことが2日、分かった。
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NKKは福岡県三輪町と大分県佐伯市に、ダイオキシンの排出を抑える新型のごみ焼却施設を建設する際、反対運動に絡む暴力団の妨害を排除するための「地元対策費」などを経費に見せ掛けていた。
東京国税局はこれらを悪質な所得隠しにあたると認定、ほかに経理ミスなどによる約4億円の申告漏れも見つかったが、赤字の決算期もあり追徴税額(更正処分)は1億数千万円とみられる。
関係者によると、問題のごみ焼却施設は福岡県甘木市など九市町村で作る広域行政事務組合発注の「サン・ポート」と、大分県佐伯市など九市町村の同「エコセンター番匠」の2カ所。いずれもNKKが2000年に約97億円と約85億円で受注し、03年春に完成した。4月2日共同通配信
そしてもう一本の記事がこれだ。
A荏原製作所が裏金作り 佐藤工業から3億円還流
会社更生法の適用を受け、経営再建中の佐藤工業(本店・富山市桜木町、会長・森本裕士管財人)が経営破たん前の平成13年、大手プラントメーカー、荏原製作所(東京都)の裏金作りに協力し、下請けとしてごみ処理施設の工事を受注する見返りに、約3億円を渡していたことが19日までに、分かった。捜査当局は裏金の使途に関心を寄せている。
裏金作りの舞台となったのは千葉県流山市が発注したリサイクルプラザ・ごみ焼却施設(クリーンセンター)の建設工事。13年7月に、計四社が参加して指名競争入札が行われ、荏原製作所が約114億円で落札。建物の建築工事の下請けに佐藤工業を指名した。
佐藤工業は罰則課税を覚悟で使い道を隠す「使途秘匿金」として処理し、約3億円を工面。荏原製作所側に還流したとされる。
流山市は当初、指名業者の候補として7社を選定。このうち、談合事件で公正取引委員会から勧告や警告を受けた5社を排除し、2社に絞った。
ところが、その後、右翼団体が「(残った)2社のうち1社も警告を受けたことがあ
る」などと街宣活動を展開。1社では入札が成立しないことから、最終的には4社を指名した。
佐藤工業幹部は「当社は捜査協力者との認識。(裏金が)最終的にどう使われたかは知らない」としている。(04年4月28日付、北日本新聞)
香川の有力者が顔を出す疑惑
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この二本の記事は、いずれも本紙が第一報を打った後に雪崩の如く飛び出してきた記事である。内容をきちんと押さえておいて欲しい。
いずれも本紙が一番最初に追及したものと、場所、時機、裏金の金額こそ異なるものの、事件の内容、流れなどは判で押したように全く同じなのである。
特に一本目の記事などは、JFEエンジニアリングによる事件ということで張本人たる企業まで同じなのである。
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これはどういうことか? いうまでもないが、このふたつの大きな事案がここに来て一気に発覚、公の下に曝されたのは本紙が最初に当該案件を暴いたからに他ならない。本紙には、警察当局からや別の司直、あるいは大手マスメディアに到るまで、前々号発刊時から問い合わせが殺到した。それだけこの事案に内包せられる含みが多かったのであろう。加えていうならば、いかに、産業廃棄物処理場やゴミ処理場建設においてダーティーなカネが飛び交っているかがこれだけ散見するだけでも大いに判ろうというものだ。
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特に本紙が追及している徳島吉野町の事案は、我が香川の隣接県ということもある上、追及していくうちに関係者として、現職の香川県知事や香川県警の警察官、そして高松に本拠を構える広域暴力団の名前が、文字通り芋づるの如く出てきたのである。
この驚くべき相関関係は、いわゆる数度に渡る川上事件≠竅A香川銀行疑惑などにもソックリそのまま登場するのである。
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香川県民にとっては全く由々しき事態という他はないが、本紙はさらなる取材を重ねたところ、かかる事案において、この県民の偽らざる憂慮をさらに拡大させ濃厚たらしめる情報を掴んだのである。
木村議員に飛び出した疑惑
それはなにか? ズバリ、地元香川二区選出の衆議院議員、木村義雄氏のことである。もう有力政治家といっていいランクに入ってきたはずである。しかし、木村議員の政治家として行っていることは、有力どころか余りにお粗末といわざるを得ないのだ。
木村議員は、俗に、厚生族°c員だといわれている。これはいうまでもなく、これまでの同議員の国会内における経歴に由縁するものである。厚生政務次官や厚生委員会委員長なども務めている。本紙でも徹底追及しているように、厚生労働省が絡む事案ではいつもこの木村議員が顔を出すようなことになっているのだ。現在起きている日本歯科医師会による自民党関連の政治資金規正法違反事件や昨年、同議員が厚生労働副大臣の時には柔道整復師に対する保険請求の適正化指導を見送らせた疑惑が問題となった。いずれも木村議員の本性を適切に浮き彫りにしている疑惑ではあるが、本紙はここで全く別の疑惑に突き当たった。
それがこれまで追及しているJFEエンジニアリングによる処理場建設に絡む疑惑中に出てくるのである。
JFEは、この徳島県吉野町の事案では、通常の入札ではなくて随意契約として建設工事の元請となっている。いわゆる随契というものである。この随契が何故果たせたか? 通常は入札、それも国費を90億円もかける公共工事である。随契でこの仕事を取ったJFEは、実に諸手を挙げて喜ぶような仕事の取得といわざるを得ない。そこには当然仕掛け人がいなくてはいけない。仕掛け人とは誰なのか?
その仕掛け人の一人こそ、木村義雄議員なのである。この異様なる随契は、実は、衆議院の環境部会で決定されているのだ。厚生族としてその名を轟かす木村議員が、この環境部会で絶大なる発言をしたところ、まるで鶴の一声の如く、問題の随契が成立してしまったのである。
用意された3,000万円の裏金
JFEの関係者がソッと漏らす。
「実は、うちのなかの旧川崎製鉄側の役員の中では国からの大きな仕事を取りたくて焦っていた者がいるのです。事業統合はしたものの常に内部ではNKK側に水をあけられている。(※そのNKKも今回同様の疑惑を取り沙汰されたのはいかにも皮肉な話である)だから焦ったのでしょう。旧川崎製鉄が提携しているドイツのサーモセレクト社というところが造っているプラントを日本国内のどこかに持って行きたがっていた。これが出来れば社内のNKKとの立場は少なくとも対等となり得る。そして白羽の矢を立てたのが今回の徳島吉野町事案なんです。この事案を成功させなくてはいけない。そこでこの事案の政治的決着をつける場所、それが環境部会なんですが、そこに働きかけをしました。そこには発言力の大きい地元選出の木村議員がいた。早速、工作は始まりました…」。
「まず環境部会において、JFEが随契を受けるようにしてもらう、この要請に木村議員は速やかに応じました。この部会で決まれば、後はもう流れに任せるばかりなのです。この最大のハードルを越えるために用意したカネは、3,000万円でした…」。
まさしく驚くべき証言なのである。初めから劣勢だったJFEの中の旧川崎製鉄一派が逆転を狙った裏面工作。そこに登場してきたのが木村議員であり、同議員は、少なくともここで裏金を受け取っている、と証言されているのだ。確かにJFEにしてみればこの程度の裏金を用意するのはさほど難しいことではあるまい。ましてや裏面工作が成就すればこの程度のカネなど直ちに回収でき、大いにプラスになる。そしてここで名前が出てきた木村議員は、この疑惑にどう答えるか?
本紙は、これまでにも木村議員の疑惑を追及してきた。だが、この疑惑が木村議員のトドメとなり得ることは間違いなさそうだ。
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