八月一日、地域金融機関の経営健全化を進めるため、公的資金を積極的に投入し、合併・統合や経営改革を促す金融機能強化法が施行された。
来年四月には、ペイオフが全面解禁され、地域金融の勢力図が塗り替えられる可能性があり、地方銀行や第二地方銀行などの経営者にとって経営改革決断が迫られている。
地銀、第二地銀では今年三月期の自己資本比率が国内行の健全基準である4%を割り込んだ過小資本行はないが、5、6%程度にとどまっている銀行がある。本紙が平成六年から追及している大林一友氏が会長を務めている香川銀行もその一つである。
経営が健全とされる銀行でも、人口減少に伴う地場経済の衰退や国債価格の下落リスクを抱えているケースもあるから、中途半端な取り組み方では生き残れないのではないか。
ましてや本紙の批判記事を、
参考にするどころか、捻じ曲げて解釈し、敵対する姿勢を貫いてきた香川銀行の場合、なおさらである。
ペイオフ解禁まで、あと半年。最後の力を振り絞って改革に取り組んでもらいたい。
愛媛銀行への業務改善命令本紙へ調査の依頼
先月中ごろ、香川銀行のOBですがと前置きして、本紙に次のような電話があった。
「ウチは金融庁から改善命令があったのに、愛媛銀行の業務改善命令は、なぜ四国財務局から出されたのか。…
改善命令が出された十日ほど前、湯築支店で六,七千万円の不祥事があり、福井課長が自殺した。…それにパートナーなんとかという、愛媛銀行の系列会社の檜垣社長も不祥事を起こしていると聞く、どうしてこれら二件の不祥事が改善命令の対象にならないのか。それに香川銀行の場合は末沢頭取が責任を取って辞めたのに、愛媛銀行は会長も頭取も居座ったままである。四国タイムズさんは香川銀行を追及しているからこのあたりは調査できるでしょう」。
本紙は扱っている事案でスペースを割く余裕も無いので、一瞬、戸惑った。しかしすぐに、愛媛銀行宛に送付していた四国タイムズが「受け取り拒絶」で送り返されていたのを思い出した。今までの経験から、送付した四国タイムズが執拗に受け取り拒絶するこだわりが、「愛媛銀行になにかある」と直感した。
香川銀行への金融庁からの業務改善命令。愛媛銀行への四国財務局からの業務改善命令。この違いはなにか。
金融庁からの返事、
「業務改善命令は、金融庁からでも、四国財務局からでも出せます」。
愛媛銀行湯築支店に電話、
「福井課長お願いします」
女性受付嬢が、
「いません」
「いませんと言っても、七月中旬ごろ、福井課長から電話を下さいと連絡があったのですが」
すこし待ってください、と言って電話を保留。しばらく待たされた後、
「福井課長は、心不全で七月二十七日に亡くなりました」。
もう一つのパートナー何とか。
インターネットで調べると、愛媛銀行の系列会社で保険業務を扱っている。
正式には活、媛パートナーエージェント、事務所は松山市勝山町…。
早速、パートナーの社長に電話を入れたが留守。何度か電話したが留守なので、受付嬢に社長の名前を聞いたところ、
愛媛パートナーエージェント、社長は、難しい字の方の檜垣です。
受付嬢の対応から、会社内で緘口令が敷かれていると感じた本紙は、以前、香川銀行の件で何度か応対してくれた、財務省四国財務局理財部金融監督第一課・上席調査官永田浩氏に電話を入れた。異動して不在ということで、一緒に対応していた美馬雄吉・上席調査官が電話に出た。
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「愛媛銀行の業務改善命令の件ですが、湯築支店の七千万横領と福井課長のこと、それにパートナーエージェントの檜垣社長のことですが…」
「四国財務局としては個別の件についてはお答えできません。業務改善命令の件でしたらホームページに載って…」
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不正容疑その一 財務局が扱った五件の不祥事
四国財務局が八月六日に業務改善命令を出した愛媛銀行の不祥事について、(八月十日付日本経済新聞)を引用する。
四国財務局は6日、愛媛銀行に対し業務改善命令を出した。同行では過去1年間に支店で行員や元行員による横領・詐欺事件が5件発生、同財務局は事実関係、発生原因などの報告を求めたところ、6月14日に報告があったが「管理体制に重大な問題があると認められた」(松山財務事務所)として、行政処分となった。
同行では2003年11月から今年7月にかけて5支店で4件の横領(被害額2300万円)と元行員による1件の詐欺事件(同4540万円)が発生している。このうち、新居浜支店の元行員が顧客の預金通帳を担保に現金をだまし取ったとして詐欺で、逮捕・起訴された。
裁判中の詐欺事件を除き、横領にかかわった4人を懲戒解雇処分とした。行内でも社内規定に従い昨年暮れから今年にかけて役員、部長、支店長などに対し減給、けん責などの処分をした。
不正容疑その二 財務局が除外した二件の不祥事
愛媛パートナーエージェント檜垣社長の不祥事との思い込みのため、本紙の調査は行き詰っていた。そこえ、締め切り前の土曜日、愛媛銀行の情報を教えてくれた香川銀行の匿名OBから電話があった。
「四国タイムズが真剣に取り組んでいるのが分かりました。
新しい情報を整理して言います。パートナーの前社長は高塚という人です。高塚社長はパートナーに就任する前、ひめぎん総合リース鰍フ役員でした。パートナーの社長に就任して四,五ヵ月して前職場であった総合リースの役員時代に六,七百万円の使い込みをしていたことが発覚したようです。懲戒解雇でなく依願退職という理由でパートナーの社長を引いたようです。当然退職金も取っていると思う。
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なぜ特別扱いされるのか。
理由はどうも、高塚元社長の妻と愛媛銀行一色会長の妻が姉妹ということらしい。
パートナーという系列会社へは普通、愛媛銀行の常務クラスが就任するポストらしい。
それが支店長クラスを経験した高塚が就任するのは、一色会長の肩入れがあったから。
もう一つの湯築支店福井課長の件は、六,七千万の横領がバレ、左遷か解雇の辞令が出て、首を吊って死んだらしい。
この二件の不祥事は四国財務局も知っているそうですよ。
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四国財務局OBの森田という人が愛媛銀行の監査役をしているから、金融庁にも手を回したのと違いますか。
ところで川上さん、あなたが追及していた井坪建設には、若林組長本人が三億円ぐらい融資していたのを知っていますか。香川銀行の大林会長らが井坪建設に不正融資、そこに若林組長が三億融資、もちろん高い金利を取るでしょうね。四国タイムズのホームページ見ましたけど、会長一族が銀行の改革に悪い影響を及ぼしているのは、愛媛銀行も香川銀行と一緒ですね…」
本紙川上は黙って香川銀行OBという人の話を聞いていた。
残念なことに電話が非通知設定とあり、こちらから連絡が取れないのが残念でならない。
香川銀行、改善命令の端緒
二月七日、香川銀行が高松市役所において重大な記者会見を行った。末沢光男頭取が、同行坂出支店で千五百万円の行金横領事件があったことと、同行岡山支店で三百五十万円の小切手紛失事故があったことを発表し、…
これは本紙・平成十五年三月号の「金融庁、香川銀行に業務改善命令 大林会長、責任逃れを図ったのか」と見出した冒頭の一節である。
四国で初めてという金融庁の業務改善命令は、意外にも本紙が端緒になったようだ。
それは、平成十四年九月号で「香川銀行の『あってはならぬ不祥事』が発覚 銀行は秘密のうちに決着させたつもりか」香川銀行の坂出支店において、とんでもない事件が起こっていた。井上という外回りの行員が、お得意先のA社から融資を依頼され、…自分勝手に、同じ坂出支店に預金していたB社から約二千万円も引き出してA社に渡したという、…の記事である。
悪質さは愛媛銀行の方。
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