これまで本紙が追及してきた香川銀行はじめ、四国の有力銀行に対するけじめ≠フ時期がついにやってくる。
香川銀行の反社会的勢力、即ち山口組系若林組に対する不正融資疑惑にはじまって、愛媛県の県内第二位行である愛媛銀行における支店幹部自殺によって明るみに出た横領事件、さらには徳島県の有力信金、阿南信用金庫の理事長をはじめとする理事連中の間で行われた不法行為が、文字通り五月雨の如く金融当局によって摘出される準備が固まったのだ。
「これらの金融機関による不法行為はいずれも、地元紙四国タイムズが真っ先に報じてきたものです。この事実は非常に重く、私たちは四国タイムズの記事を追っかけ、追及する形で各金融機関を調査内偵してきました。そしてほぼ同紙記事にあるような不法行為が存在することを確認しました。目下、密かに関係者を事情聴取しながら最後の固め≠行っているところです」。
こう言うのは、敢えて記すが本紙愛読者の金融庁関係者である。
「それぞれの金融機関へのメスはこれから波状的に行っていく予定です。すでに証拠の隠滅など姑息な手段が執れないように外堀を埋めてきました。準備は万端、といったところです」(同)。
実に頼もしい証言である。
最高裁判決まで影響する 香川銀行不正融資解明の行き着く先
第一に香川銀行においては、本紙社主川上氏に対しての『殺人未遂事件』に対する示唆というとんでもない疑惑がある。いうまでもなく若林組と香川県警幹部連中、〜もうお判りかと思われるが、この幹部連中こそ津島警視の一派である〜、との癒着のなかから飛び出してきたこの事件、金融庁のメスが入ると共に、香川銀行による示唆をはじめとする疑惑が一気に解明へと繋がることは必至なのだ。
「そうです。川上氏に対する例の血腥い事件が、まさしく香川銀行に根元があることはすでに判っています。もちろん職掌柄、私共がこの事件の捜査等々を手掛けるわけではありませんが、事件のキッカケとなった香川銀行による不正融資をキッチリ摘発することによって、この事件そのものが解明されるのは自明の理でしょう。そういう意味でも今、手掛けているこの事案は、私共にとっても初めてといってもいい特殊なものなのです」(同)。
確かに金融庁が『殺人未遂事件』の解明に直接乗り出すようなことはないだろう。ただ、この金融当局による銀行の不正融資を摘出することは、直ちにこの事件の解明にそのまま繋がっていくのである。そういう意味では、ここでいわれているように、金融庁の調査がこのような事件解明の決定的裏付けになるような事態は、これまでにない、『初めてといってもいい特殊な』ケースといっていい。
「それだけ私共も力が入っている事案なのです」。
この問題は、さらに川上社主に対する最高裁の判決にも関連してくる。香川銀行への金融当局のメスが速やかに入り、さらにその資料を要して、『殺人未遂事件』の一気解明に到れば、判決そのものに影響する。全ては、川上社主がこれまで報じてきた内容は、事実、ということになり、確定された判決こそ正反対であったということになるのだ。これこそ前代未聞の一大事というべきであろう。その一大事が現実になる日は近いはずだ。
一課長の死を無駄にしてはいけない 愛媛銀行の不法行為を一気に暴け
一方、これも本紙がいち早く報じた愛媛銀行において発生していた不正流用、横領事件である。
これは本紙既報通り、同行湯築支店課長の自殺に始まった。この自殺さえ愛媛銀行は3ヶ月余りに渡って隠蔽していたが、本紙スクープによって渋々認めたのだ。
「この自殺すら四国タイムズの報道がなければ、沙汰闇にされていたでしょう。恐らくその課長は心不全というような曖昧な形でその死を処理されていたはずです。それに併せて同行の不正流用が、全てこの課長に押しつけられた疑惑についても解明しなければなりません。すでにその調査にもわれわれは着手しているのですが、この疑惑も実に奥深いのです」(同)。
発表の度に同課長が着服したとする金額が変動する、余りにも杜撰なディスクローズに金融庁も呆れ気味なのである。
「四国タイムズ前号でも、『死人に口なし、で済ますのか』、というような恐ろしい文言がありましたが、私たちは、まさしくそれを追及しているのです。四国財務局の誰が見ても甘い業務改善命令や頭取や会長などの監督者処分も驚くほど甘い。しかし、真実は死者に押しつけられて藪の中、という金融機関にあるまじき蛮行です。同行は一応禊ぎを済ませた、というようなことを公然と言っているようですが、そうは問屋が卸さない。課長の死を無駄にしないためにも、イヤ、死者を汚さないためにも私たちは不正にメスを入れます」(同)。
香川銀行にしても愛媛銀行にしても、第二地銀、いずれも県内第二行という強いポジションに立っている。これはイコール県民の信頼をそのまま背負っている、ということである。それらが金融機関にあるまじき不正や隠蔽などを重ねているのである。金融庁のこれら不正に対する排斥の思いには鬼気迫るものがある。愛媛銀行の不正が明るみに出る日もこれまた近い、といえよう。
もはや金融機関の長としての資格を失った 阿南信金理事長はじめ首脳陣らの惨状
徳島県の有力信金、阿南信金の場合もまた深刻である。それは換言すれば金融当局からのメスが今や病巣を切開するところまで来ている、ということである。
「阿南信金の場合も四国タイムズのエビデンスを元にした記事が重点調査の契機になりました。理事長はじめ全ての理事がここを先途と不正を行い、あまつさえそれを封印するというようなことをしていることが調査によってハッキリしました。こうなると海外の例ですが、かつて悪徳銀行といわれたBCCI(’72年にパキスタン人によって開設された銀行。’91年に大がかりな粉飾決算が明るみになり業務停止命令が各先進国で発令され、そのまま消滅した)に勝るとも劣らない状態といっても決して過言ではありません。ほとんどの預金者、つまり同信金の債権者を裏切ったことになります。これを看過することはもちろん出来ません」(同)。
同信金の不正については、これまでも本紙が追及しているのでここに詳細は記さないが、特に問題なのは、理事長自ら、不正の隠蔽などはいくらでも出来ると、言い放った件である。
「確かに、同信金理事長は、周囲に、旧大蔵省の有力職員や地検検察官に知り合いがいるので、絶対に(不正が)明るみに出るようなことはない、などと言っていたようです。この発言は私たちにも聞こえてきましたが、われわれはそんなつまらない不正隠しなど意に介しません。こういう不穏当な発言が、むしろ私たち金融当局を刺激するとは感じないのか、それが不思議ですらあります」(同)。
こういう輩が、堂々と一金融機関の長として預金者の大事な資産を預かっているのだから、この事実は文字通り背筋が寒くなる。もちろん同信金の不正解明も間近に迫っている。
これら三つの金融機関で発生していた大がかりで、驚くべき不正、不法行為は、これまで繰り返してきたように、この先、続々と明るみにされ、諸悪は一掃されることになるはずだ。
大きな山に迫れ 四国財務局への追及開始
しかし、ここにもうひとつ、予断を許さないとんでもない事態が浮かび上がっているのだ。
「それはズバリ、四国財務局が抱える問題です。今、徹底的に洗っている香川銀行、愛媛銀行、それに阿南信金、いずれも四国財務局の管掌となるわけですが、実は、当方が調査すればするほど、この財務局はこれまで何をしていたんだ? という疑問が出てくるのです。これだけの不正があって、そのうえ地元紙四国タイムズが勇気を奮ってこれら疑惑を指摘しているのに財務局はほとんど動いていません。先の愛媛銀行に対する業務改善命令も実は四国財務局が司ったのですが、その監査は余りにも柔らかい。一体どうなっているのか、この点は掘り下げていかなければならない重点事案なんです」。
これはまさしく驚くべき事態に突入しているといっていい。四国財務局に地元金融機関に対するなにがしかの癒着であるとか、監査に瑕疵があったとすれば、四国の均治上に重大な汚点を残すことになる。
さる金融通がいう。
「地元紙四国タイムズが指摘し、さらに金融庁が目を付けた四国財務局については、前あるいは元局長に不可解ともいうべき疑惑があるのです。それは、一言でいって地元有力金融機関との悪しき癒着です。これはそのまま事件に発展するはずだ」。
この金融通の言葉を受けて金融庁も、
「各地方財務局と地元有力金融機関との癒着は実は発生し易いのです。退官後の天下りのポストであるとか、あるいは検査や監査の情実を加えてもらうとか、官と財の不正の温床とも言えるような状況が形作られていることは否定出来ません。特に今回の三つに金融機関に対する四国財務局の行動には注目せざるを得ないのです…」。
示唆に富んだ証言であるが、これは実に重大なことである。
「この財務局へのメスが、四国の金融機関の正常化を図る最後の段階になるはずだ」(前出・金融通)。
今、香川を中心とした四国の金融事情は風雲急を告げている。もちろんこれからも本紙はこの先を驀進しながら、ビシャスサークル(悪の連環)≠容赦なく追及していく。
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