これまで本紙が報じてきた数々の問題、疑惑、あるいは事件等々が、今、ようやく有機的な結びつきを見せ始め、やがてひとつの大きな幹に繋がりながら、未曾有の大事件に向かって展開していく様相を見せ始めてきた。
良識派よ、立ち上がれ!
警察庁のさる幹部はこう叫んだ。
『全ての領域にいる、良識派=Aをまとめなければいけない。この大仕事をひとつの新聞社と社主だけに押しつけてはいけない。私たちも、大海に漕ぎ出さなければ=A存在意義すら問われてしまう。立ち上がらなければならない。そしてこの年度末(三月末)までにこの公開の指針をくっきりと残さなければならないのだ』。
まるで学生運動の盟主が吐くような、一見青臭い、しかし思いの丈がズシンと伝わってくるような言葉である。これは警察庁の一部幹部とその部下だけに伝わった言葉である。
まずはこの決意の言葉には少々の解説が必要であろう。 はじめに、ここでいう全ての領域=Aというのは、警察庁だけでなく、検察庁あるいは金融庁あるいは国税庁などの広義の司直、そして行政、加えて政治(立法)を指している。全て国民の生活を司る組織に属している人達を指すわけだ。
それとここで忘れてならないのは、この領域の中には、全国的展開を定着させている暴力団すら含んでいる、ということである。これはとても大事なことで、確かに暴力団は我々の生活に大なり小なり結びついている(接している)。これは好むと好まざるとは関係のない話である。この事実を踏まえて敢えてこの幹部は、全ての領域の中に暴力団も加えたのである。警察庁と暴力団という敵味方、水と油のように見える存在でも相手を尊重しなければならない、事実は事実として認めなければならない、という精神がそこには横たわっているのである。
そのなかでこの幹部をして、良識派=Aと言わしめた。司直も暴力団もそのなかには確かに良識派はいる。時代の変遷によってその良識派の和や勢力はそれぞれの組織においてかなりの増減は見られるであろう。
しかし、今、確かに我々国民の生活に密着しているそれぞれの組織の良識派がスクラム組んで大改革に乗り出さなければ、もうこの先大改革遂行のチャンスはない、とこの幹部は言っているのである。その時期に警察庁だ、暴力団だ、と自分らの立場だけを主張してはいられない、言っている場合ではない、と文字通り檄を飛ばしているのだ。
この言葉は、掛け値なしの大改革遂行への立ち上げ宣言なのである。
次の読売新聞記事(3月1日付)は少々長いがご覧いただきたい。
「山口組が相次ぎ組織改編=@解体へ足がかりと大阪府警」
全国最大の暴力団山口組が、暴力団抗争に絡んでトップの使用者責任を初めて認めた昨年11月の最高裁判決後、渡辺芳則組長(64)と組運営の距離を保つため「組織改編」を進めていることが1日、大阪府警の調べでわかった。
組長を除いた最高幹部による集団指導体制に切り替え、組長と組員が主従関係を結ぶ儀式「盃事(さかずきごと)」や年末年始の恒例行事も相次いで廃止した。一時は渡辺組長の「引退」も発表されるなど浮足立つ内情が表面化しており、府警は「改編は組長を守るための偽装工作。この機を組織解体の足がかりにしたい」と、他の警察と連携して幹部クラスの摘発を進める。
判決は、暴力団抗争を警戒中に山口組系3次団体の組員に射殺された京都府警警部の遺族について、一昨年10月、2審・大阪高裁が「下部組織の抗争も指揮監督が可能な使用者の立場にある」として、渡辺組長らに約8000万円の損害賠償を命じ、昨年11月に最高裁で確定した。
府警によると、山口組はその後、昨年末までに数回、神戸市の総本部に97人の直系組長らを集めた緊急幹部会や地域ごとのブロック会議などを開き、「組の運営は今後、約10人の最高幹部で構成する執行部が集団で当たる」と発表。盃事を取りやめることや12月の「事始め式」、1月の渡辺組長の誕生会なども軒並み中止することを決めた。
一方、大阪府警は昨年6月、大阪市内の直系組長(64)を恐喝未遂容疑などで逮捕したのを手始めに、同10月までに同クラスの5人を逮捕。兵庫、熊本など4県警も9〜12月に計5人を逮捕し、直系組長の年間逮捕者は、過去15年間で最多の10人に上った。 こうした集中摘発を受け、幹部会では、執行部側から「取り締まりが厳しいのでけじめをつけた行動を」と危機感のにじむ発言が飛び出した。幹部会で渡辺組長の引退も発表されたが数日後には撤回されるなど、“組長隠し”に追われ、内部の動揺もうかがえるという。
最近では、有力直系組長が渡辺組長批判を展開しているとの情報もあり、大阪府警などは「組の結束が乱れている。今後も徹底的に取り締まる」としている。
警察庁によると、昨年末現在、全国の暴力団勢力8万7000人のうち、山口組の勢力は約3万9200人で、暴対法が施行された92年以降で最多となっている。
これを読んで、なるほど、とピンと来られた方は、本紙の読者他ならないはずだ。表向きは昨年11月の京都の事件の判決を引用しているが、この山口組組長(五代目)に対する使用者責任の問いかけは、本紙社主川上が今でも行っている。これが世界最大とも言われる暴力団、山口組の根幹を揺さぶっていることは、実は、当の警察庁が最も知悉しているのだ。
「川上社主のここまで踏ん張ってきた、一人で大海に手漕ぎボートを漕ぎ出して大陸発見を目指す姿勢に感化されたことはまず第一に認めなければならない。だからこそ、これからはあらゆる組織の良識派をひとつにして立ち上がらなければならないのだ。この山口組の現状も、実際は組織解体ではなく、良識派の台頭を後押しした結果といってもいいのだよ。しかしそこには川上氏のようなサムライの一見無謀とも見える大海への漕ぎ出しがなければ始まらなかったことというのも事実なんだ。これはやはりとても大事なことだからここで敢えて言っておかなければなるまいね」(同)。
川上社主が誰の助けも借りないで切り込んだ山口組組長に対する責任の問いかけ。これがやはり良識派達にとってみれば、勇気ある行動として捉えられ、その意とする一矢を報いたのだ!
それは先の言葉のなかにある、この大仕事をひとつの新聞社とその社主だけに押しつけてはいけない、これが四国タイムズ社と同社社主川上氏のことである、ということにもはや説明の要はないであろう。
四国の三つの金融機関へ ついに「メス」が入る
金融庁にしても負けてはいない。これも実態を示すために次の記事をまずはご覧になって欲しい。
「地銀再編、陰に金融庁 財務基盤の強化迫る」
地方銀行、第二地方銀行で再編の動きが加速している。地方には不良債権処理が遅れ、自己資本が脆弱(ぜいじゃく)な銀行が少なくない。金融庁は、経営基盤強化のために公的資金を注入する金融機能強化法(公的資金新法)を活用した再編を促しており、行政主導で「中規模以下の地銀の再編が進む」(アナリスト)との見方が強い。
〜中略〜 今年度、金融庁が少なくともどちらかの銀行に検査に入ったことだ。和歌山銀、茨城銀は中間決算の発表の直前に入っている。スタンダード&プアーズの吉沢亮二主席アナリストは「金融庁が検査を厳格に実施し、間接的に再編を促している」と分析する。
8月に施行された新法は合併行が使う場合、経営責任を問わないなど単独で申請するよりも優遇されている。検査で不良債権処理などを促して財務内容の厳しさを自覚させ、新法を活用した再編を促すという流れだ。伊藤金融相は19日の会見で「再編は効率性を向上させる前向きな改革」と語った。
金融庁がこうした流れを作ろうとする背景には、地方の銀行の不良債権処理の遅れがある。04年3月期の不良債権比率は大手行が5・2%なのに対し、全国の地方銀行(第二地銀含む)は6・6%と高く、10%を超える銀行もある。
財務基盤の厚みを示す自己資本比率も「健全性」の基準である4%に近い5%台〜6%台が14行(04年3月末現在)あり、不良債権処理や業績悪化で赤字に陥れば、4%に近づく恐れもある。
来年4月には、預金の払い戻し保証額が元本1000万円とその利息までとなる「ペイオフ」が全面解禁され、預金者の銀行を選ぶ目は厳しくなる。金融庁は「財務基盤が弱い地銀は再編しないと、安心してペイオフ全面解禁を迎えられない」(幹部)との危機感を持つ。
地銀には「公的資金を受けると、経営が縛られる」(複数の地銀頭取)という考えは根強く、単独での生き残りを目指す動きもある。今後、行政主導の再編が進むかどうかが注目される。 (04・11・20付朝日新聞より抜粋)
金融庁のさる幹部は語る。
「これはこれからの私たちの指針をそのまま書いたものです。具体的には、これまで四国タイムズなどの地元紙で指摘していた金融機関が対象になってきます。すでにその時期が来ています。我々はこうして報道される前から実は幾つかの指摘を受けて四国の金融機関に内偵を入れていました。
それはズバリ、香川銀行、愛媛銀行、そして阿南信金です。これはもちろんこれまで四国タイムズさんが道を切り開いて指摘していましたが、私たちはその道の地固めをこれからしていくことになります」。
まさしく警察庁と同じ立場で司直としての動きをしていく、ということである。ここで上げられた三つの金融機関について、敢えてここではそれらが抱える疑惑や不正等々は記さない。それはこれまで本紙が再三再四書いてきたことだからだ。
この大改革は、先の警察庁幹部の大号令にある通り、この年度末には実行されることになろう。
そして彼ら良識派はもうその糸口を掴んでいる。
もちろん本紙は、これまで通りのスタンスで事実の剔抉を果たしていく。
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