本紙の追及に対して、追及される側が極端に緊張する場面がこのところ度々と起きてきている。
今月号二面でも詳報しているように、先月本紙で取り上げた、『香川銀行支店長代理による、1億1千万円横領事件』の如きは、本紙に素っ破抜かれることを怖れる余り、自ら不祥事を公にしてきた。
しかし、当然そのような、仕組まれた自白≠ノは、ウラがあるものだ。
もちろん今回の場合も同様、第一にこの支店長代理Kを香川銀行が刑事告訴しない、という驚くような措置を早々に打ち出している。
第二に、この横領の被害額が実際額とは大幅な乖離がある、ということだ。
つまり、事件を恣意的に矮小化した、ということなのである。
間違いなくこのふたつの、隠蔽≠ノは、よしんば本紙で素っ破抜かれた際に、当然、その内容を全てつまびらかにされることが予想されるのに対して、防波堤≠フ意味がある。つまり香川銀行には、能動的に不祥事を処理したから、後から第三者に四の五の言わせないぞ、という意図が暗にあるのだ。
「刑事告訴あいならぬ」 香川県警からの醜悪なる通達
しかし、そのような陰湿な意図など本紙には全く通用しない。
まず、第一の点、である。 この支店長代理を刑事告訴しない、というのは、実は、香川県警の一部幹部グループからの、通達≠ェあったのである。
何故、香川県警の幹部ともあろう者が、このような非道な対応を行うのか。
それはこれまで本紙が再三再四、指摘していたように、同銀行と同県警とは、分かち難い、暗黒の腐れ縁≠ェあるからだ。この腐れ縁≠フ仲介役を果たしていたのが、地元暴力団、若林組であることは、本紙読者のみならず、もはや周知の事実である。
さて、この事実関係を前提に考察してみると、第一の点についての疑問は直ちに解ける。
実は、この横領事件は奥が深い。単なる一不良銀行員による横領事件ではないのだ。
それは、つまり、この事件を刑事事件として告訴されると、これまでの、香川銀行、香川県警並びに山口組若林組の関係が、文字通り芋づる式に明るみに出てしまうからである。
横領事件として正式に告訴されると、当然、司直=香川県警がそれを受け速やかに捜査に乗り出さなければならない。言うまでもなく、そこで事件の全容が明るみに出されて行くことになる。
その時、この香川銀行横領事件の背後にある香川県警幹部に対する饗応や資金の拠出が、図らずも表に出てきたとしたら、また、その県警の捜査を通して、地元暴力団である若林組に対して、同様な利益供与の実態が出てくるとしたら、それはもう、絶対に彼ら関係者からすれば回避しなければならない事態である。
ところが、その実態はあるのだ。
もし告訴されたなら、県警絡みの事実だけを迂回させ、単なる支店長代理の業務上横領事件として立件することは不可能なのである。
もし、それをしても、高松地検の公判維持など絶対に出来るはずもない。
イヤ、まず、捜査途中で香川県警十八番(おはこ)の捜査中断となるであろう。
ここで問題にされているのは、1億1千万円である。
1億1千万円の横領(累積)ということになっているが、実際は、それ以上の額が、この支店長代理によって横領されているのである。
「ザッと見積もっても、3億円は下らないはずです。
しかし、ここが大事で、実はこの横領事件は、この支店長代理Kだけが手を染めたものではありません。そのほかの、曲がった意志が、混じっているのです。
恐らくそのことは当のKも知らないことかもしれません。 もし知っていても、銀行の方からあえて告訴などはしないからという、暗に交換条件的な含みを持たされ、1億1千万円の横領ということにしてしまったのかもしれません。
しかし、いずれにしても、これはこんな一支店長代理による横領着服事件などではなく、銀行ぐるみの大がかりな不正隠蔽事件なのです」。
こういうのは、金融庁監督局の幹部である。
金融庁は、この事件の実態をほとんど全て捕捉した時点で、銀行そのものを告発する(金融庁には告発権がある)という。
意図的に矮小化された、告訴されざる横領事件
つまり、被害額1億1千万円に矮小化されたこの事件、実は、そのなかに、銀行幹部全てに絡む醜い利害関係による不正拠出金がゴソッと眠っている、ということなのである。
この事態は即ち前述した、第二点目の疑惑を指摘しているのだ。
確かにこれらを全て先に本紙が情報として得ていたとしたら、香川銀行の根幹を揺るがせるような事態が発生していたはずである。彼らは、それを最も恐れていたために、あえて、極端に矮小化した部分だけを表に出してきたのである。
それは戦法としては、悪くないかもしれない。しかし香川銀行は、本紙の調査力を未だ見くびっている。本紙は、銀行の表層的な隠蔽など、至極簡単に剥がし、さらに驚くべき実態を引きずり出す。すでにその実態に対する確たる情報は獲得しているのだ。
香川銀行が、あえて小さい犯罪を自ら表に出してカムフラージュしようとしていた、ウラにある大きな実態とはどのようなものか。
「ひとつは、香川県警一部幹部に対するウラ金の拠出です。これは当然、贈収賄になります。警察官によるいわゆる捜査費横領については、北海道警や愛媛県警などで明るみになっており、これが社会問題化していますが、香川県警の一部幹部の場合はそれよりも増して、最も悪質で汚れているわけです。
実際、この支店長代理の事件でも、このように警察官に対するウラ金拠出、つまり贈収賄にかかる資金が含まれているのです。その額、4,5千万円と見積もっています。全く持ってあってはならない非常事態です。
もちろんそれが、誰から誰に渡ったのか、というところまでほとんど解明していますが、この最後の最後が判明したときに、全て告発される準備が出来ています」。
と、実に驚くべき事情を話すのは、警察庁首脳の一人である。贈収賄ともなれば確かに捜査費の流用などというものとは一線を画すくらいのインパクトはある。しかもそれが、捜査費流用と同様、組織だって行われていた、というのだから、香川県警はもはや司直としての実態を失っている、といっても差し支えなかろう。
こういう事態を、一つの横領事件の中に埋め込んでしまおうというのだから、その厚かましさには、怒るより呆れてしまう。
あまつさえ、その横領事件すら、刑事告訴しないように、警察の方から指導、通達≠オていた、というのだから、もうこれは常人の発想を遙かに超えた、悪魔の発想そのものである。
醜い三角関係が県民を圧迫 香川の許されざる現状
そして、その上、さらにもう一枚、底がある、というのだ。
「それは、銀行、警察両者の若林組との関係です。香川県警の一部筋を銀行の用心棒にしたのは、実は若林組です。ヤクザが、警察を駒のように動かして、銀行にとって好ましくない勢力や情報を悉く闇に葬らせてきました。これは全く前代未聞の不祥事です」。
確かにそうだ。
「つまりですね、銀行は、地下の用心棒である若林組を通じて、県警の一部筋に先ほどのカネが行くようなパイプを拵えてきたのです。この点を四国タイムズが10年に近い前から指摘し、すべからく表に出してきたことから、同紙の川上社主に対するおぞましい、想像を絶する、『殺人未遂』事件が、連続して起こりました。
これは、言論を暴力で封殺しようとした重大事件なのです。それよりなにより、自分たちの都合だけで、人の命を亡きものにしようとした、先進国において、絶対にあってはならない凶悪事件なのです。
これを誘発したのが、他でもない、香川銀行、そして香川県警、並びに暴力団若林組、ということが益々明瞭かしてきたのです。この一連の繋がりすら、今回の横領事件の最中に全て消し込んでしまおう、という魂胆があったのです」。
(前述と同じ警察庁首脳)。
だから、香川県警が、香川銀行に、事件として告訴することを、絶対にするな≠ニ指示し(ある意味、命令に近い)、銀行はそれを忠実に守って、一支店長代理のK行員だけを、懲戒解雇処分としたのである。
しかし、ここで流れたカネは、当のKにはほとんど落ちておらず、またぞろ、県警一部筋、そして、暴力団、その上、香川銀行最高幹部数人に分配されたのである!
このようなことがあっていいわけがない。
預金者の大事な虎の子を預かる銀行、市民の安全な生活を身を挺して守らなければならない警察が、自分たちと暴力団の利益だけを死守するために、人を傷つけ、小悪人の銀行員に含みを持たせてクビにし、さらには郷土香川を暗黒の統制下に置いてしまっている。
このようなことが許されるはずもない。
だからこそ、今後、本紙を枢軸として、警察庁、検察庁、それに金融庁が、前代未聞のスクラムを組んで、この香川を浄化していくことになるのだ。
すでに時代は変わりつつある。
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