昨年の9月29日、本紙川上家族は「暴力団の使用者責任」を問う裁判を神戸地裁に起こした。
原告は、本紙川上と妻、それに長男の3人。
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被告は、五代目山口組渡辺芳則組長、
山口組二代目若林組・篠原重則組長、
山口組若林組元舎弟・広沢こと黄津一、
山口組二代目若林組・森隆若頭(森組組長)の4人である。
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事件の概要は、平成12年1月19日夜、帰宅していた本紙川上家族が同乗した車を、広沢の企画・立案総指揮の下、若林組森組の組員らが目出し帽で覆面をして鉄パイプで襲撃した、というものであった。
その後、五代目山口組盛力会盛力健児会長の尽力で、平成16年10月29日、五代目渡辺芳則組長への「使用者責任」を問う訴状は取り下げた。
取り下げの条件は、
@本紙家族が被った、5発の発砲(殺人未遂)事件(最後の1発は暴発)。
A目出し帽で覆面をした若林組組員に、家族同乗の車が鉄パイプで襲撃された殺人未遂事件。
これら神戸地裁に提訴している事件の真相が解明できるよう全面的に山口組が協力する。それと、堅気に向けて発砲や鉄パイプ襲撃するようなことが無いように山口組の改革に努力する、であった。
要は、テロや戦争が起きないように裏社会をまとめて欲しい、ヤクザの原点である任侠道を大切にして欲しい、ということである。
鉄パイプ襲撃直後の供述調書 被害者無視は、事件つぶしの一手
先月末、平成12年1月19日に起きた鉄パイプ襲撃直後の本紙川上の供述調書を手に入れた。5年半ほど前、若林組と癒着していた腐敗警官によって作成された調書である。
当時を思い起しながら、事件解決に繋がるよう、この調書を丹念に見てみよう。
最初の1枚目、
【供述調書】
職業:会社役員 川上道大
右の者は、平成12年1月20日志度警察署において、本職に対し、任意次のとおり供述した。
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(中略)
最後のページ、
志度警察署派遣
香川県警察本部刑事部捜査第二課
司法警察員
巡査部長 篠原政純
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この篠原政純巡査部長の痕跡を追うことが、事件解決に繋がる一つのキーポイントであることは間違いない。
枚数にして10枚ほどの調書。最近、県警の捜査関係者に尋ねると、「事件の質からすればそんな簡単な供述調書で片付けられるはずがない」という回答を得た。
さて、その篠原巡査部長が作成した本紙川上の供述内容を見てみよう。
…実は、昨日になりますが、平成12年1月19日午後7時55分頃に、私が運転する普通乗用車に妻と長男を乗せて帰宅中の屋島カントリークラブ進入路で二人組の男が乗った白色普通乗用車に待ち伏せされて、
車をぶつけられたり、又、鉄パイプ用の物で私の車の窓ガラスやフロントガラスを割られる
等の被害を受けましたので、今からその時の状況について思い出しながら話します。
(中略)
…このままでは、ぶつかると思い、クラクションを何回か鳴らしましたが、結局相手の車の運転席ドアと私の車の右側が接触しました。
私は、この時に
事故をやった
と思い、運転席から降りたところ、私の車の後を廻って、
二人組のうちの一人で人相や服装が、若い男、中肉・中背
白っぽい服上下、目出し帽(茶色っぽい)
の男が、どちらの手であったか判りませんが、鉄パイプの様な物で、最初に息子が乗っていた後部左側窓ガラスをたたき割ったのです。そこで、私は、待ち伏せされたということが判り、すぐに運転席に乗り込みましたが、とっさの事ですぐに車で逃げられず、
次に、助手席の窓ガラス
更には、フロントガラスをそれぞれ順にたたき割られました。そして、私はこのままでは殺される。家族も危ない
と思うと共に、私方家は一軒家でもあり、家に逃げても、おわえて来られたらいかん
と考え、車をバックさせて逃げたのです。
(中略)
…私は郷屋敷の前で警察の人が来てくれるのを待っていたのですが、この時になって私の車の左前輪がパンクしているに気付きましたが…
この調書から、巡査部長篠原政純が、県警本部捜査二課・津島利夫次長(当時)の指示を受けて、事件つぶしの偽装工作を担当していたことが明確に浮かび上がってきた。
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というのも本紙川上が、
常識派の香川県警の幹部数人に供述調書の作成について尋ねると、「警官は、基本的に被害者からの話を中心に据えて、自然体で供述調書を作成していきます」との返答があったからである。
事件直後、被害者である本紙川上が繰り返し供述していたのは、襲撃実行犯は一人である、妻も長男も実行犯は一人しか見ていない、であった。
しかし、篠原政純巡査部長は、頑として被害者の供述を受け入れず、
「そんなことはない、暴力団が襲撃する場合は複数でするから二人の間違いや」と言って強引に供述調書を作成してしまった。
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翌日、事件発生の管轄である志度警察署刑事課長に抗議すると、
「この事件は、管轄署のウチ(志度署)というより県警本部が取り仕切っているので、でしゃばるわけにも…」
と苦しそうに内情を吐露した。
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