本紙が、香川県に対する戦後初の一大改革、いわゆる『オリーブ・オペレーション』について報じて以来、実に十数回、その内容について、都度、過不足なく紙面を通じてお知らせしてきた。
「このオペレーションこそ、瀕死の際に来ている我が国を立て直すその橋頭堡にするつもりだ。だから、何があってもオペレーションの進行に渋滞があってはならないし、(渋滞を)させはしない。つまり、国家の威信を以て、このオペレーションに臨んでいるのだ、携わる誰もが、である。例外は、一切ない」。
警察庁の枢密部に属す司令官はこういって憚らない。この意気込みは、本紙でもことあるごとに報じてきた。そして、このオペレーションが、実際、この司令官の言うような形で着々と進行していることも報じてきた。事実、この進行は、少々の暗礁などものともせずに、今現在も続行されている。
「核となる事件の被害者となった四国タイムズ社主、川上氏の精神は、聞き及んでいるところに依ると、『不撓不屈』だそうだ。暴力団から始まって、銀行、そして、警察この誰の手を以てしても突き破りがたい厚き壁に川上社主は以上の精神で臨んだのだそうだ。私達はまず、その精神と同様であれ、と了解しあっている。
確かに、このオペレーションは、前代未聞、先達がないだけに最終的な成就にまでもっていくだけでも、イヤイヤ、行き着くだけでも難しいことである。しかし、このオペレーションの実行の契機となった川上氏襲撃事件のその当の被害者が、先の精神を突貫して、今でもゴーイングマイウエイ、つまり我が道を驀進している。これは大きなインスピレーションであり、且つ我々は積極的にインスパイアされなければいけないことなのだ」。
そこで、川上社主同様、オペレーションという未踏の線路を驀進し続けている警察庁をトップとした警察機構。司直の要として、この中央の司令官の精神を大いに継承しながら現場のオペレーションを行う警察機構においては、確かに、『不撓不屈』の精神が求められるはずである。その発露はマックス(MAX=最大)とは言えないが、第三者的に観てもかなりのレベルで行われているようである。
ここまでは、実に順調で、頼もしい限りであるが、この状況は、このオペレーションに携わる機構全て(機構という括りではなく、個人という括りで考えてもいいのであるが…)、同じくしているのではないようなのだ。
井竿前助役の電撃辞任
ある重大なる疑惑が潜む
目下、オリーブ・オペレーションのひとつの峠として黙されている行政上の、事件≠ェある。言うまでもなく、先日、突然(本紙読者からしてみれば、突然などという表現は片腹痛いかもしれぬ。しかし、行政面から観るとあの一幕は、やはり突然、というものだったのだ。ここに行政という三文芝居の様子が垣間見える。この件については、別の項に譲るとする)、辞意を表明、その直後に、実際辞任してしまった、井竿辰夫前高松市助役の一件である。
井竿前助役についてのかかる疑惑、つまり、辞任への事由については本紙がすでに書き尽くしているので、敢えてここには記さない。賢明なる読者諸兄はすでにお判りだと思うが、この井竿絡みのいくつかの事案は、大きく拡がりを見せ、香川の中核に対する大胆な切り込みの役割を為している。オリーブ・オペレーション成就のために実に重要なる事案なのである。
「特に特養ホーム『高松さんさん荘』設置に関わる贈収賄疑惑について、井竿前助役のポジションは大きな意味を持っている。その点は、(四国)タイムズさんが、最も得意とするところでしょう? だからここであれこれいうのは時間の無駄? 釈迦に説法ですね(笑)。その井竿前助役が結局ああした形で辞めて、大きな転換期を迎えることとなったわけだ。つまり、私達オペレーションを運営する者にとっては、最高のチャンスが訪れてきた。疑惑の渦中にある、助役といういわば準主役が、ほとんど疑惑を認めるようなかたちで、職を放り出してしまったわけだからね。ここは一気呵成にオペレーションを進行させていかなければいけないわけだが…」。
オペレーションの実行地、香川にしばらく常駐していた(もちろん極秘事項であるが)警察庁の別の最高幹部(もちろんキャリア)が、声を潜めてこういう。
それまで、能弁を振りまいていた同氏がここで突如として言葉を切ってしばしの沈黙を見せた。こういう状況は一般的なる取材ではありがちだが、この人の場合はこういうことは珍しい。そもそも極秘を前提とした取材である。にもかかわらずここで言葉を切る、というのは、大きな枠組みの中で話しづらい事項があるからに違いないのだ。
疑惑の黒点
踏んでいたのかブレーキを
「その指摘は、間違いない。このことに気付いているのは、オペレーションに実際に携わっている者でもそう多くはない。ホンの小さい、僅かばかりの疑惑の黒点だからだ。オペレーションの執行者以外のところで気付いているとしたら、それは、四国タイムズの(川上)社主しかいまい」。 この幹部は、しばらく高松にいたことから川上社主の実際の、実力≠ニいうものを、『肌で感じてきた』、というのである。故に、この曰く、疑惑の黒点=Aに朧気ながらでも気が付いている可能性のある人物を、川上社主、と挙げたのかもしれない。
その予感とも呼ぶべき意識は、その後、実際に当たっていた。
しかし、それはそうと、ここでいわれる、小さな疑惑の黒点、とは何であろうか?
「それはね、実際のオペレーション執行者の中に、壁となってしまっている人物がいるのではないか? というとんでもない疑惑なんだ。
余りにとんでもないことから、この疑惑については、未だ関係者の口の端にすら上っていない。しかし、しかし、どう考えても、実際に疑惑を否定できない、ある、事実があるのだ」。
まさに驚天動地の証言である。
この警察庁キャリアは、香川から一旦戻って、この疑惑を含めて中枢部に逐一報告したという。そして、何とその報告は、法務省に間髪を入れず、伝達され、今、別働隊が厳密なる調査をしているところだという。「何故、法務省が噛んできたか。これが答えの全てである。これ以上は、まだ言えない」。そういって、一旦、口を結んでしまった。
警察庁の事案と思われているが、現場の極秘部隊が本庁、つまり警察庁本庁に戻ってまで報告しなければならなかった、疑惑。そしてその疑惑は、愕くべきことに法務省にほぼ同時に転送されたという。
そればかりではない。転送された直後、今度は法務省で別道の調査が始まった、というのだ。
これだけが(Only)頼りの重大情報である。
しかし、警察庁と法務省というのは、実際のところ、犬猿と言い切って構わないほどの間柄なのである。その間柄で、疑惑を供用する、ということがあり得るのだろうか?
「あり得るよ。よく考えて欲しい。このオペレーションを実行するのは、誰か?
そう、警察、金融庁、そして、検察である。法務省の関わりはいうまでもない、検察庁だ。ウチ(警察庁)が、どうして、余り仲がよくないといわれる、実際そうなんだが(笑)、法務省にこの疑惑を伝達したか。これだけいえば、もう判るでしょう」。
つまりは、オペレーション執行者の中の、検察に当たるところに、疑惑がある、ということか?
「そう。それ以上はまだ厳然たる調査の結果が出ていないので言えない」。
全く愕くしかないビッグニュースである。疑惑は、検察にあるということなのか?
この情報の信憑を確認するために本紙取材班は、文字通り、奔走した。そしてひとつの結論を得るに至った。
この証言を聞いて欲しい。
「検察官の中でも行政に酷く、くっつく者がいる。いわゆる癒着。実は、現在、高松の場合は、この癒着=Aが見られる。その癒着の元凶は、前の赴任地においても同様の有り体だった。この最も重要な時期に、何と、その当の高松から、癒着の疑惑が出るとは…。私達としてもまさしく痛恨の極みなんだ」。
検察と行政の接合点は浅くが基本
しかし、現実は? 深まる疑惑
絶対の特命条件に基づく証言故に、その出所さえ詮索できないようにしなければなるまいが、ただひとつ、この証言こそ、目下進行しているオペレーションにおける最大の関係者の一人ということまでは言い添えておこう。
となると、この癒着の疑惑とは、それが何か、そして肝心の誰か、ということになってくる。
別の関係者の証言。
「いつまで経っても、贈収賄が事件として立てられない。ここまで(立件の)構成要件が揃っているにも拘わらず、いまだに事件化していないのです。事件を実際、法律上立てられるのは誰か? 癒着、つまり行政の癒着疑惑の中心人物は、この事態の中心人物他なりません。これ以上は、いまには言えない…」。
この事態が尋常であるはずがない。しかし、しかしながら本紙は、懸命なる且つ文字通り地を這うような取材によってこの疑惑の人物と疑惑の内容をほとんど掴むに至った。
その片鱗だけを以下に記し、その核心は次号に続行させる。 「司直、特に検察と、行政の接合点は浅く、が望ましい。しかし、今浮かび上がっている状況はその正反対である。司直が硬直し、そこにある事件が立てられない。しかもその疑惑は、不偏不党の名の下に行われている」。
腐敗された行政の事件化、それが香川刷新の援軍である。
|