2024年1月 特報
千葉大学学長候補者 横手幸太郎教授と製薬会社のあまりにもきな臭い関係を暴く
千葉大学医学部付属病院長に付けられたあだ名は〝億夫〟
名門国立千葉大学が揺れている。
事の起こりは、昨年11月2日、前学長中山俊憲氏(享年64)の死去である。中山氏は医学部長から学長になった。同学は新制転換時において旧制官立千葉医科大学が核となっただけに現在でも学内の主流は医学部である。そして、目下起きている千葉大学大揺れの震源地は他ならぬ医学部である。
震源地の真ん中に立っているのが副学長で医学部付属病院長、教授の横手幸太郎氏(60)である。
在任中の学長の死亡に伴って発生する動揺が後継者争いに起因することは想像に難くない。
2023年から24年をまたいでその度合いは日を追うごとに熾烈化している。
水面下での争いはすでに昨年11月あたりから始まっているようだが、公表の学長選は学長候補者公示が1月11日、同19日に学内意向聴取(学長候補者に対して、単記無記名投票)が行われ、同25日に決定となる。
件の横手氏はむろんこの学長選に名乗りを上げている。
下馬評では、横手氏勝利も取り沙汰されているようである。
ところが、この横手氏の評判、すこぶるいいとなったら何の問題もないのだが、現実はその反対でなんとも芳しくない。
これが今起きている千葉大学激震の根源的な要因となっているのだ。
横手氏は、学長選で旗揚げするにあたって念を入れたパンフレットを創り配布した。
ここにそのパンフレットのコピーがある。そこにはまずこんなことがしたためられている。
~前略~
千葉大学の置かれた状況がきわめて厳しく一刻の猶予もない中、中山前学長急逝という緊急事態に、「病院経営で培ったネットワークや資金調達の経験、マネジメント力や発信力を大学に活かしてほしい」、との声もいただき、熟慮の末、「これからは、部局を越えて、千葉大学全体のために働こう」と覚悟を決めました。
~後略~。
この文言を横にスーツ姿でスクッと佇立する横手氏はなかなか颯爽としている。これだけ眺めていると世界を股に掛け走り回るエリート商社マンのようである。
しかしながら残念なことに学内外から聞こえてくる横手氏の風評はこのような外見とは裏腹なのだ。
横手氏に付けられているあだ名は、〝億夫(おくお)〟というのだそうだが、これどんな意味か判りますか?横手氏が5年余の間で得た講演料、それはなんと億単位なのだそうだ。
その額をもじってこんなあだ名が付いているのだという。億を超える講演料というのは確かに仰天ものだが、これは出典が明確な数値で明らかになっている。
講演の主催者は製薬会社である。むろん講演料の支払元も製薬会社となる。
これをもって、直ちに大学教授と製薬会社の癒着だ、千葉大学は国立、教授ともなればみなし公務員ではないか、癒着どころかこれは贈収賄にあたるのではないか、と息巻く御仁もいるかもしれないが、そこは計算され尽くしている。これは法律に触れるようなものではないし、製薬会社におけるガイドラインだってあるのだ。
そういうところはクリアしているが、それにしても5年間で億単位の講演料、それはつまるところ副職によるものとなればこれは如何なものかといったような意見は当然出るだろう。一番深刻なのは、横手氏の公職を著しく浸食しているという点である。
5年間で億単位ともなればその講演の回数というのはどうなるのか。
単純計算3日に1回の講演をしていることになる。事実そういう状態なのだ。
「いつだって医学部や院長をしている附属病院にはいないのです。本当に席の温まる暇もない」(大学関係者)というのはうなずける。
そのくらいの回数をこなさないことには億は稼げない。
あだ名はやっかみ半分といったところだろうが、それにしても本業というか公職を横に置いておいて講演に励むというのは大学関係者でなくとも〝???〟であろう。
先のパンフレットに、『病院経営で培った資金調達の経験』とあるが、つまり、このことか?と穿ってみたくもなる。
現実は、調達した資金は講演料の場合、大学には一切入らず皆、自分の懐中に入っているのだが。
誰のための資金調達なのか?そして、病院は大幅な赤字とは!
さらにはこんな数字も出てきている。
横手氏が院長を務めている千葉大医学部附属病院における2023年の損益状況を見ると絶句してしまうような結果が出ている。
なんと37億円の大赤字を出してしまっているのだ(前年度はこの10分の1)。
先のパンフレットに自然目が行ってしまう。
『(病院経営で培った)マネジメント力や発信力を大学に活かして』。
この大きな赤字額を見るにつけ、横手氏が唱えるスローガンが空疎に聞こえてきてしまう。ちなみに横手氏は病院長Ⅰ年目に、慶應義塾大学大学院にてMBAを取得している。
表向きには経営のプロフェッショナルなのだ。
ご本人もこのことは声高に発信している。しかしながら現実に目を転じてみると掲げているものと実態には大きな隔たりが見えてくる。
こういうことになると千葉大学においては不安と不満が蔓延するのも無理はない。
一方で、千葉大学という組織におけるガバナンスについても目を向けなけなくてはならない。
どうして、横手氏の〝資金調達〟に歯止めがかからなかったのか?病院経営においてこのような大きな赤字を出すことが読めなかったのか?どうして評判芳しからざる横手氏がそれでも学長候補筆頭というのもやはり首をかしげざるを得ない。
横手氏は学長選にあたって大きく謳っている。
〝誰もが自分らしさを追求でき、人を豊かにする魅力あふれる大学を目指して〟。
学長選の結果は蓋し見物だ。