2024年3月 特報
大阪市が積極的に後押しする夢の人工燃料、それは大型詐欺だったのか?
ネット騒然、京都大学名誉教授今中忠行氏が開発した『ドリーム燃料』に重大な疑義あり!
ガソリン1リッターを今の価格の10分の1で供給できます!
これが本当ならば、1リッター10数円でガソリンが買えることになる。
原油高でドライブの回数を大幅に減らしている人続出のご時世、この話に飛びつかない人はいないだろう。称して『ドリーム燃料』。
提供するのは、アイティー技研なる会社で、同社代表は京都大学名誉教授の今中忠行氏。
ドリーム燃料の開発者はこの今中氏である。
10分の1の価格、京都大学のそれも名誉教授、これらアイコンが話題にならないはずはない。
昨年中頃からネットなどはいち早くこのトピックに飛びつき話題の渦となっている。
当のアイティー技研のホームページはこんなことが記されている。
ドリームエネルギー製造装置 は、株式会社アイティー技研 代表取締役社長、京都大学名誉教授 工学博士の今中忠行氏らによって開発された技術を基に連続生産を可能にした製品です。
ここではその開発会社である株式会社アイティー技研、そして今中忠行氏を紹介いたします。
~中略~
保有技術
炭酸ガスと水から常温・常圧で石油を化学合成する技術
軽油・重油を簡便に精製する技術
活性化水を用いて植物の成長を促進させる技術
工業部品の油汚れを洗浄する技術
ビルの冷却水を安価に維持する技術
鉛バッテリーを半永久的に回復・利用することができる技術
河川・湖沼・内海のヘドロを安全に分解する技術
超好熱菌を用いて生ごみ等から水素を生産する技術
特殊光触媒を用いて空気中の菌類を強力殺菌する技術
特許
発明の名称 炭化水素の合成方法及び合成装置
特許番号 特許第6440742号
発明者 今中 忠行、竹本 正
ニッポンの救世主と言われて
今やネットで話題になってしまえば次々とマスメディアが動き出す。
案の定、動き出した。いち早く大きく取り上げたのはテレビだ。
そのテレビニュースでは大阪市がこのドリームエネルギー(燃料)を実験し、実際に水と二酸化炭素を原料に特殊な加工を施した結果、今のガソリン価格の10分の1という金額でガソリンを供給できることを証明して見せている。
今中教授はそのニュースの中でキッパリと『今のガソリンの10分の1で(ドリーム燃料は)できます』と自信にあふれた顔で言い放っている。
いってみれば大阪市がドリーム燃料に対してわざわざ実験までしてみせながらお墨付きを与えているのだ。このニュースは実に2023年1月16日である(テレビ大阪)。
このニュースを見た視聴者は目を剥く。
〝なんだって、10分の1?やて!うそやろ!いや、大阪市が実験してホンマにガソリンができとるがな、こりゃ本物やな。
この先生(今中教授)偉いもんやな」。まあこのニュースを見た大方の視聴者はこんな感想を抱くかあるいは声に出して感心したはずだ。大阪市が声高に『夢の燃料』などといっているのだ。それも広告宣伝なんかではない、ニュースでそう言っているのである。
そのあとも大阪市だけでなく大阪府もドリーム燃料の実証に積極的に乗り出したであるとか仙台市に本社を置く再生可能エネルギー専門会社、サステイナブルエネルギー開発株式会社がドリームエネルギー製造装置を取り扱うなどというような注目度の高いニュースが次々と波状的に流されている。
ドリーム燃料に対する巷間の耳目はいやが上にも高まってくる。当の今中教授はドリーム燃料の開発の場を立命館大学に移し、そこで盛んにデモンストレーションを繰り広げる。もう再生可能エネルギーのステージは、ドリーム燃料で塗りつぶされてきたといっても過言じゃない。
今やネット上では、ニッポンのいや、人類の救世主などと持ち上げられ、ちょっとした今中フィーバーが沸き起こっているのだ。
いつまで経っても完成しない!
ところが、この熱量に水を差す情報がもたらされた。ドリーム燃料の開発にも大いなる援助もしてきた複数の業者が投げかける。
この業者らのいうところはすべて共通している。それらの声をまとめてみるとこうなる。
「ドリーム燃料製造装置はいつまで経っても完成しないのです。実験ではあたかもできあがっているように謳っていますが、実は完成されていません。
もうすぐ完成するといってはカネを要求する。いろいろな業者がずいぶん多額の資金を出してきていますが、それでもいまだに完成していないのです。
要するにドリーム燃料製造装置はお金を引っ張る道具になっているのです。
今中氏はもうすぐ完成、もうすぐ完成、この台詞で実は数年間多くの関係者を騙し続けています。(製造装置は)完成することはないと考えています。
今中氏にしても心中は完成することはないと確信しているはずです」。
この証言が事実ということになるとこれが大きな社会的問題に発展することは自明の理である。
ドリーム燃料に関してはもちろん猜疑的な意見は散見されたが、このように真っ向から疑義を唱えられたことはかつてない。
本紙はこの問題をさらに追求していく。(以下、次号)