2019年9月
- 目次
- 国滅ぶとも正義は行わるべし 新レジームへの狼煙が日本変革
- 香川県警の捜査放棄と冤罪捜査(その197)
- 若狭勝弁護士への懲戒請求を第一東京弁護士会が受理
- 報道の自由を妨害は憲法違反 非弁活動で本紙川上を狙った若狭弁護士
- 無登録車輌の死亡事故カートの公道通行は違法
- 東名富士カントリー・磐田社長の預託金返還逃れ疑惑
- 西和彦理事長解任で激震の明浄学院
- 21億円行方不明は理事会通さずの決定的証拠入手 新たな「背任」?
- 「反社」排除の「誓約書」に「清水一族こそ反社? よくいうよね」のブーイング
- 寿和工業・名進研・としわ会、清水氏一族の「行状」を”ブツ”で研究(その5)
- 阿波踊りは台風で中止
- 後藤田衆院議員に次期衆院選で自民党が対抗馬、徳島政界も大荒れか?
国滅ぶとも正義は行わるべし 新レジームへの狼煙が日本変革
「この男」、今、天下取りに臨む。
たいした玉、という台詞がある。お世辞にも行儀のいい台詞ではないにしても、最高クラスの褒め言葉である。
小泉進次郎氏には敢えてこの台詞を提供したい、本紙はそう考える。本紙は同氏の父親から始まって足かけ15年余、この親子鷹を地の底から応援してきた。
これから始まる新レジームでは間違いなく、小泉進次郎氏はそのトップに立つであろう。
今号では小泉進次郎氏のこれまでの発言をまとめながら、新しい牽引車に相応しい人物であることの解析をしていく。
人生100年時代には「人間とは何か」が問われる
「リンダ・グラットン×小泉進次郎」特別対談
『ライフシフト』が日本社会を変えた
――小泉議員の提言は、「ライフシフト社会保障改革」とも言える踏み込んだ内容でした。今年5月にはアメリカ・ワシントンのシンクタンクで「人生100年時代は、日本のニューフロンティアになる」とのスピーチもされました。
小泉進次郎(以下、小泉):『ライフシフト』は、1冊のベストセラーにとどまらず、日本の社会を変えていくインパクトがあったと思います。僕はいま、社会保障改革を実際に動かす立場にあり、厚生労働部会長として取りまとめた政策を、政府方針にしていく作業をやっていますが、これが形になりそうなところまできました。
『ライフシフト』は33万部のベストセラーになっている。
今回の提言では、「リバランス」という言葉を使っています。社会保障改革には、これまで2つの道がありました。第1の道は、社会保障サービスをカットする給付の削減。第2の道は、消費増税などの負担拡大。
しかし、人口構成も含めて極度にバランスの崩れた状態になっている日本では、バランスを正していく第3の道「リバランス」が必要です。
具体的には、多様化した生き方に合わせられるように、また、長く働くことを応援するために、より多くの選択肢を国の制度の中に入れていきます。
象徴的なのは年金です。日本の公的年金制度は、現状、60歳から70歳まで、いつ年金を受け取るかを国民が選べるようになっています。60歳で受け取ると、65歳で受け取るよりも30%カットになる。逆に70歳まで待つと、65歳と比べて42%アップする。
今回これをさらに拡大することを政府に提言し、その方向で制度設計を進めることになりました。例えば、60歳から75歳まで選べるようにすると、65歳で受け取るよりも8割以上、増額できる可能性が出るわけです。
また、日本は世界と違って、仕事はあるけど人はいない国。労働力不足です。しかし日本には、「これ以上働いてしまうと扶養控除が得られない」など、働く時間を抑えるよう促してしまう制度があります。働きたい人は気にせずに働けるようにするべきです。それを阻む壁は撤廃していきます。
リンダ・グラットン(以下、グラットン):すばらしい提言ですね。労働については、現在、企業も政府も働き続けることを支える環境を提供できていないと言えます。とくに、長寿化し、なおかつテクノロジーの変化が激しい日本のような環境では、人生の中に多くの選択肢を持っていることがとても大切になるでしょう。その選択肢を作るうえで大きな役割を担うのが、政府です。
グラットン:小泉さんの「リバランス」という言葉はとくに興味深いですね。これまでの時代、リソースとして重要視されていたのは「お金」でした。しかし、長寿化社会で大切になるのは「時間」です。つまり、時間をどう使うのかという決断が非常に重要になるわけです。政府は、国民が時間をバランスよく使ってゆくための手助けをしなければなりません。
「長く働く」は、「悪いニュース」なのか
――『ライフシフト』は発売後4年が経ち、現在も世界各地でベストセラーになっていますが、各国の状況はいかがでしょうか?
グラットン:『ライフシフト』の共著者であるアンドリュー・スコット氏とともに、イギリスの財務省に呼ばれて、70歳、80歳まで働くとはどういうことなのかと聞かれました。
リンダ・グラットン/ロンドン・ビジネススクール教授。人材論、組織論の世界的権威。2年に1度発表される世界で最も権威ある経営思想家ランキング「Thinkers50」では2003年以降、毎回ランキング入りを果たしている。2013年のランキングでは、『イノベーションのジレンマ』のクレイトン・クリステンセン、『ブルー・オーシャン戦略』のチャン・キム&レネ・モボルニュ、『リバース・イノベーション』のビジャイ・ゴビンダラジャン、競争戦略論の大家マイケル・ポーターらに次いで12位にランクインした。組織のイノベーションを促進する「Hot Spots Movement」の創始者であり、85を超える企業と500人のエグゼクティブが参加する「働き方の未来コンソーシアム」を率いる(撮影:尾形文繁)
この手の話は、有権者にとって印象が悪く、政治家は話しづらいものですよね。でも、私たちが直面する現実なのだから、きちんと伝えなければならないとお答えしました。アメリカでもこの話をしましたら、報道関係者から「なぜそんな悪いニュースを話すのか」と言われました。ですが、これは伝えるべき現実なのです。
小泉さんが年金についてお話しされましたが、多くの国の年金は、日本と同じく退職後10年ほど生きるという想定で制度設計されています。定年後30年間生き続けるという時代になれば、あらゆる国の年金制度がたちゆかなくなるでしょう。
イギリスでは、55歳以上の人が職を失うと、再雇用されるのはかなり難しい状況にあります。個人レベルだけでなく、企業側の支援としても考え尽くさなければならないと思います。
生涯教育についても、もっと話題にする必要がありますね。アメリカのビジネススクールや世界経済フォーラムでも話しましたが、人々の長命化が進み、非連続の変化が起き続ける状況のなかでは、たびたび再教育を受けなければ、長い時間を生き抜くことは難しくなります。世界各国の政府は、年金だけでなく、長く働く時代になるという現実と生涯学習の必要性、この2つをもっと議題に上げなければなりません。
小泉:長く働くということを、国民の皆さんにいかに前向きに捉えてもらえるように話すかは非常に大切ですね。日本の世論調査で「あなたは何歳まで働きたいですか」と聞くと、「働ける限り働きたい」という回答が最大です。この話をアメリカでするとみんなが驚きました。
日本人の持っている、勤勉という強み。これは戦後の発展を支えた原動力でもありますが、人生100年時代においても、日本人の最大の強みになると思います。やはり人生100年時代は、日本のニューフロンティアになる。僕は改めて確信しました。
そして生涯教育。最近取り組んでいるのは、教育訓練給付金です。「ユーキャン」などがわかりやすいでしょうか。一定の条件を満たせば、学費の一部が雇用保険から支給される制度があります。
実はこういった支援制度には国から相当な助成が出ていますが、あまり知られていません。せっかくの制度をもっと活用してもらいたい。そのためには、国民に必要な情報を届けていくコミュニケーション戦略が必要です。
小泉:年金についても、70歳まで待って受給額を42%アップするという選択をとっている人はわずか1%しかいません。制度をしっかり周知すれば確実に結果は出ます。
政治家の仕事は、政策や法律を作って終わりではない。いくらよい政策を作っても、知られなければ存在しないも同じですから。
グラットン:重要なことですね。学びなおしについては、政府は2つの形で役割を果たせると思います。まずは資金提供です。シンガポールのように、政府が毎年国民になんらかの学びができるよう資金を提供している国もあります。
2つ目は、国民がちゃんとした選択を下せるような支援ですね。現代のように労働市場が大きく変わり、いろいろな仕事が自動化されたり、かつてなかった仕事が新たに生まれる時代においては、新しい仕事がどこからやってくるのか、どんなスキル、どんな準備が必要なのかを国民に知らせ一人ひとりが賢明な選択を下せるよう助けることが大切です。例えばドイツの政府は、地域コミュニティーの単位でそのような支援を提供していると聞いています。
「時間のリバランス」という考え方
――日本人の勤勉性は、人生100年時代において奏功する資質ともなるということですが、ほかに何が必要でしょう?
グラットン:日本の労働制度は、日本人の勤勉さを促す仕組みになっていると思いますが、ただ、勤勉さは人生のバランスの代償として実現されてきた面もあるでしょう。とくに、時間を再分配する必要が出てきます。
例えば、引退後に使うはずだった余生の時間を、ちょっと早めの40代に半年だけもってきて休みをとるとか、若者の勉強する時間を、大人になってから学び直しの時間に充てるとか。時間の再分配ができるようになると選択肢も増え、バランスもとれると思います。でも、そこは日本企業がなかなか気づかずにいるところですね。
小泉:そうですね。人生100年時代、もちろんお金は大事です。しかし、時間という価値がものすごく高まる時代でもあると思います。「ワーク・ライフ・バランス」という言葉がありますが、この言葉ももう一度問い直す必要があるかもしれない。僕はまず、自分自身と向き合う必要があるだろうと思っているんです。
僕は政治の世界にいて、ほとんど休みがありません。正直イメージも悪い世界で、SNSの時代、何をやってもどこかで何かを言われる。しかし、政治にしかできないことがあるから、打ち込むに値する。そう信じているからこの世界を選択しているわけです。
自分の中で「僕はこれが好きだ」「私はこの道を信じる」と言えること以上に強い理由はありません。それが見つかれば、会社や仕事が変わっても、ずっと自分が好きなことをやっていられる。そんな人生100年は楽しいですね。
グラットン:私は、日本がこの時期に安定した民主主義を守っていること自体が偉大だと思っていますよ。小泉さんのように、長期的な視点から政策を考えられる政治家が日本にはいらっしゃる、これはとても幸運なことです。
私は、ロンドンビジネススクールで、世界35カ国から集まったMBAの学生100人ほどを指導していますが、学生たちに「政治家になりたい人はいるか」と聞きましたら、残念ながら1人も挙手しませんでした。民主主義というシステムにとって非常に大きな課題を突きつけられている時代です。そして、この時代にあっては、政治家になりたいという人そのものが奇特なんですよ。優秀な人のほとんどは、企業の社長になりたいと思うのです。
小泉:僕の場合も、現実にはいつも楽しいわけじゃない。僕は若い人によく話すんです、どれだけ好きなことでも、仕事になれば絶対に嫌なことがある。でも、それに耐えられるのは、自分で選んだ道だからだ、と。
グラットン:その決断を促すためにも、政府がきちんと真実を伝える必要がありますね。世界各国の政府から話を聞きましたが、人々が長く働き続ける必要があるという物語を正面切って国民に伝えている政府はまだありません。伝えることで国民も備えることができるのに、です。
小泉:何がファクトで何がフェイクか、これをジャッジするのが非常に難しい時代です。政治でさえも本当のことを言っているのかが問われている。そんな中で、たとえ厳しいことでも正直に語っていくことですね。でも、多くの人は、苦しい話なんて聞きたくないんですよ。だから政治家も語りたがらない。
「人間とは何か」が問われる時代
小泉:僕には、政治家として絶対に忘れてならないことがあると考えています。それは、どんなに理論上正しいことでも、人の気持ちが動かなければ、絶対に動かないということ。だからつねに考えるんです。どのように届けたらいいのか。
グラットン:人間であるということは、未来へ向けての物語を持っているということでもありますからね。そして人間は、学ぶこと、探索することを求めます。子どもに限らず、人生を通して学んでいく。そこに人間と他の動物との違いがあるわけです。
そしてもう1つ大切なこと、それは、人間が他者とのつながりを持っていることです。家族、地域コミュニティーなどとのつながりですね。移行の時代においてこそ、そのつながりは重要になってくるでしょう。
世界では、日本の女性はあまり働いていないと思われていますが、それは誤解ですよね。どんどん職場に進出している。ただ、そこで単に社会に出るというだけではなく、家族や地域コミュニティーがきちんと機能するように制度設計をする必要があると思います。その点で、日本企業が果たせる役割はとても大きいですね。
私は、もっと企業が、人間は家族の一員であり、コミュニティーの一員であるのだという理解を深め、時間の再分配についてよく考える必要があると思っています。しかし、日本の企業の変化はあまりに遅すぎます。
小泉:僕もそう思います。65歳、70歳まで企業が抱え込んで、「退職おめでとう、お疲れさまでした」と手放されるのは厳しい。人生80年ならその後は年金で暮らせましたが、もうそういうわけにはいかない。いままでの幸せが、いまの不幸せにつながっているところがある。ぜひ経済界のみなさんにも、国が進めている人生100年時代への大きなシフトについて、一緒になって考えていただきたいと思います。
グラットンさんがおっしゃる「人間とは何か」に通ずることですが、僕は、みんなが「Who are you(あなたは誰ですか)?」と問われている時代だと思うんです。
選択を力に変えられるのか、それとも、選択を恐れて過去にしがみついてしまうのか。変化を前向きに捉えられるかどうかのカギは、「自分は何をしたいのか」を自分自身がしっかりわかっているかどうか、ではないでしょうか。
僕は、日本を変革の国にしたい。人口減少と人生100年時代を強みに変え、22世紀に向けた変革にスピードを上げて挑んでいきたい。(東洋経済オンラインより抜粋引用)
実に壮大なモットーであろう。
本紙は、まさに新レージームのトップに相応しい人物であることをここに確認するのだ。
もうひとつの発言をひもといてみよう。
これから、日本には「人生100年食堂」が必要だ
特別対談:リンダ・グラットン×小泉進次郎
「国のかたち」は100年スパンで考える
リンダ・グラットン(以下、グラットン):『ライフ・シフト』を執筆した動機は、テクノロジーの影響を考えながら未来を見ていったとき、100歳生きる長寿社会への到達が、世界的に早く実現すると気づいたからでした。
共著者のアンドリュー・スコット氏は、経済学者として経済的な側面の影響を、私は心理学者としての視点からさまざまな社会状況について調べました。その中で、最も逼迫しているのがやはりこの長寿化でした。しかし、なかなかこの問題が話題にのぼることがないのです。
小泉進次郎(以下、小泉):僕は、政治家として未来を眺めたとき、政治が何をどのぐらいのスパンで考えることが国民の安心につながるのかを考えたんです。80年でも90年でもない。100年生きても大丈夫、そういう発想で政策を考えないと、国民に希望と安心を示すことができないだろうと。そこで「人生100年時代だ」と言い出したら、その直後に『ライフ・シフト』が出版されたものですから、まるで赤い糸で繋がっているような感覚でいますよ。
グラットン:政治家と学者、役割は違いますが、似ていることがあるとするならば、どちらも何らかの物語をつむぎ出したいと考えているところだと思います。小泉さんが、国全体がどうなっていくのかをお考えになったのに対して、学者の私は、将来について研究するなかで、おのずと物語を描くことになりました。
『ライフ・シフト』には、20代のジェーン、40代のジミー、そして70代のジャックという年齢層の異なる3人が登場します。100年の人生、いまの条件のなかで、20代のジェーンの人生はどうなっていくのだろうか。登場人物の暮らしを通して考えるのです。政治家の仕事は、こういったそれぞれの世代の問題に、齟齬なく対応していくことなのかなと思います。
小泉:ひとりひとりの人生が多様化してきていますからね。これまで日本は、20歳ぐらいまでが学生時代、60歳ぐらいまでが現役時代、残りの約20年間が老後の人生というように、3ステージのひとつのレールが敷かれている国でした。
しかし今後は、ライフステージによって、いろいろなレールのなかから自ら選択して生きていけるような環境をつくっていかないと、ひとりひとりの希望に対応できなくなる。柔軟性のある、しなやかな、寛容な社会。そのための制度設計をしていく必要があります。国づくりの発想自体が、これまでとは違うものになるでしょう。
グラットン:イギリスでは、政治家はみんなブレグジットの話ばかりしています。100年というスパンでなく、1日のスパンで語りがちなのです。そもそも政治家にとって、長期的な問題には手をつけず、短期的な問題を語るのはとても簡単なことですしね。
私はみなさんに「70歳で引退できませんよ」と言えます。ところが、政治家が有権者に対して、その真実を語りながら選挙に当選するのは難しい。
しかし、真実を知る必要はあります。見て見ぬふりをしないのは大切なことだと思います。
小泉:国民はもう気づいているんです。むしろ、将来のことを語ってくれる人を待っていると僕は思います。それがたとえ、直面して気持ちのいいことではなくても。だから日本でグラットンさんの本が売れたんです。意外なことに、僕が「人生100年時代」という言葉を使ったとき、異論を唱える人が自民党内には誰もいませんでした。
希望を示す国家から希望を叶える国家へ
小泉:先日、作家の村上龍さんが「現代に国家は希望を示すことができるのか」というテーマでコラムをお書きになっていました。ひとりひとりに希望が存在するようになり、望むものがあまりにも多様化してきて、国が示す希望に多くの人が共感するのが難しい時代になった、と。
政治家としては悲しいことだけど、僕はこのコラムに納得するところがあるんです。
しかし、だとしたら政治がやらなければならないのは、多様な希望が叶うような、柔軟性のある制度設計をいろんなところに入れていくことです。ひとりひとりの希望が叶いやすい、そういった社会に生まれ育った人に「日本に生まれてよかった」と思ってもらえる、そのことが日本にとっての希望になる。そういったことを強く考えさせられました。
グラットン:私たちの仕事は、形は違えど希望をつくることだと思います。100年前に比べると、私たちは素晴らしい特別な人生を歩んでいますよね。課題は、その人生を最大に生かすということ。制度設計によって、産業革命以来の新しい将来に向けた準備をすること、それが政府の役割ではないかと思います。
小泉:グラットンさんは『ライフ・シフト』で産業革命について言及されていますが、産業革命後の社会の変化には何十年もの時間がかかっていますよね。しかし今は、それ以上の変化と、スピードを求められている。これはものすごく大きなチャレンジです。
スピードで言えば、国よりも民間企業のほうが圧倒的に速いでしょう。国がやらなければならないのは、利益優先ではなく、超長期にわたっても必ずなさねばならないことはなにか、決して変わらない普遍的な大切なものはなんなのか、そこをしっかりと見極め、認識していくことではないかと思います。
グラットン:おっしゃる通りだと思います。しかし、民間企業だからといってスピードが速いとは限りませんよ。恐らく、一番速く変われるのは個人レベルです。その次に企業、そして政府でしょう。政府ができることは、何よりも、真実の物語を語ることです。
まず、人々に70代の半ばぐらいまで働かなければならないということを知らしめていかなければなりません。そして、そのような生き方を可能にし、促すようなコンテクストをつくっていく。将来に向かって備える準備ができて、しかるべき教育を受けられるような環境整備も必要です。
そして、企業も変わるべきです。日本は、勤続年数の長さに関しては他国に先んじていますが、65歳で退職するのでは、全然足りません。そしてもうひとつ。若い人がアントレプレナー的な能力を発揮できるようにしてあげることです。
小泉:アントレプレナーシップは大切ですね。日本はもともと自営業者がとても多い。街中には小さな企業がたくさんあります。問題は、生み出すものが、世の中に違いをもたらすものなのか。世界に必要とされるサービス、商品なのか。日本に欠けているのはこの点だと思います。
なぜ世界中がiPhoneを使うのか。なぜ世界中がGoogle、Amazon、Facebook、Twitterを使うのか。日本人が当たり前に使っているこの名前が、なぜ日本の会社じゃないんだろう、なぜ日本の生み出したサービスじゃないんだろう、と。
「マイノリティになる経験をせよ」
グラットン:問題は、才能のある若い人たちが、なにをやりたがっていて、どこへ行きたがっているのか、ですね。
小泉:そこです。大企業です。
グラットン:そう、若い人たちは大企業が好きなんですよね。能力の高い人こそ、そうではなく、起業を目指せるようにしてあげたいところです。
日本の若者は、かなり内向き志向ですよね。あまり旅行にも行かない。海外に行かないし、英語がなかなか話せないというのも非常に大きな問題だと思います。政治家の方も英語を話されない方が多いですよね。そうなると、なかなか世界が見えてこないと思います。
たとえばインドを見てください。インフォシス、ウィプロなどいろいろな会社が生まれています。いずれもインドの人々が学生のうちにシリコンバレーに行って、ビジネスのつくり方を学んで、現地で得たネットワークをお土産に母国に戻ってきたわけです。
(以下、後略 東洋経済オンラインより抜粋引用)
これからのレジームにおいては、世界的に国内外を通じて発信できるこの男しか、トップに立ち得ない!
香川県警の捜査放棄と冤罪捜査(その197)
若狭勝弁護士への懲戒請求を第一東京弁護士会が受理
《一方、六代目山口組は夏季休暇中の8月13日、分裂下では三度目となる「お盆の墓参」を行った。山口組創始者の山口春吉初代と、その実子の山口登二代目が眠る神戸市内の墓所では、いずれも慶弔委員の…(中略)…二代目時代の大幹部墓前にも手を合わせた。
同時に、竹中正久四代目が眠る姫路市内の墓所では、安東美樹若頭補佐(二代目竹中組組長=兵庫姫路)、中山和廣・三代目矢嶋組組長(愛媛)、井上茂樹・二代目大石組組長(岡山)が墓参を行った。》これ、9月5日号週刊実話。
六代目山口組の慶弔委員長である二代目若林組篠原重則組長の名前が載ってない。姫路での竹中正久四代目の墓参には必ず慶弔委員長として過去には登場していたはずだ。
二代目若林組篠原重則組長は六代目山口組の事務局長を兼任した慶弔委員長。墓参という場面で慶弔委員長が登場しないことはありえない。また、6月末には日本士道会の松下弘文会長が二代目若林組(舎弟頭)から除籍になった。
「川上さん、気を付けて。破門状やら除籍にして使用者責任を問われないように襲撃するのが山口組の常套手段。来月には高山若頭が出所するので、その前に川上を殺しとけもあり得るからね」
なるほど、そう言えばそうだ。捜査が六代目に迫れば、六代目山口組からすれば二代目若林組に本紙川上を襲撃させることは十分にあり得る。
報道の自由を妨害は憲法違反 非弁活動で本紙川上を狙った若狭弁護士
本紙川上とすれば今、殺される訳にもいかず刑務所に収監される訳にもいかないのだ。
六代目山口組から殺される訳にもいかず、若狭弁護士から非弁活動を理由に弁護士法違反で逮捕される訳にもいかない、との想いから記事を進める。前号で背景は詳しく載せたのでバックナンバーから参照してもらいたい。
《東京地検特捜部の元特捜副部長だった若狭弁護士が、本紙川上を「非弁活動」という冤罪捜査を画策して陥れようとした痕跡は、若狭弁護士と西山会長のメールからも確認できた。看過できない。
令和元年7月19日、本紙の川上道大は若狭勝弁護士を第二東京弁護士会に懲戒請求書を提出した。》
これ、本紙8月号「若狭弁護士を懲戒請求 三竦みの蛇と蛙と蛞蝓の癒着が国滅ぼす」の記事で、最後の締めくくりの部分である。
さて、その後の顛末を記してみよう。
実は、7月19日に提出した第二東京弁護士会には若狭勝弁護士は所属せづ、第一東京弁護士会に所属していたのである。
もちろん本紙川上は8月19日付で若狭勝弁護士の懲戒請求を第一東京弁護士会に出し直した。また、ここで不備な点を電話で指摘されたので、8月20日9時30分、東京弁護士会館11階の第一東京弁護士会に若狭勝弁護士の懲戒請求書を持参して担当者の方の手を煩わしながらも懲戒請求の提出は完了した。丁寧な対応に頭が下がる思いである。
翌朝、なんと21日午前中、配達証明付き速達で第一東京弁護士会から封書が届いた。
《懲戒請求者川上道大 様
第一東京弁護士会 会長佐藤順哉
貴方様から2019年8月19日付け(当会受付日:2019年8月21日付け)、でなされた懲戒請求について、当会は2019年8月21日付けで下記のとおり綱紀事件として受理し、懲戒委員会に、審査を求めるか否かについて綱紀委員会に事案の調査を求めましたので通知します。
貴方様への御連絡は文書をもって通知いたしなすので、当初の送付先を変更した時は直ちに書面で届け出て下さい。》
なんと有難い、感謝である。この受理通知を受け取り、報道者としての使命がより確かに感じるようになった。
さて、懲戒請求をした若狭勝弁護士が著作した、
『元東京地検特捜部検事・政治家の闘い 参謀力
官邸最高レベルに告ぐ さらば「しがらみ政治」若狭勝(衆議院議員)』を引用する。
《先のことは、誰にも分らない。こうした決断が間違っていたということもあるかもしれない。ただ、私が政治家人生を終える時、そして、人生を終える時に、「いろいろなことがあった。その都度、決断を迫られた。その選択が間違ったことがあったかもしれない。それでも、その都度、その都度、その時点での自分の心に素直に従って決断した。それが少なくとも唯一、確かなこと、自分への勲章である」と言って終わりたいと思っている。》
東京地検特捜検事の名が泣くような決断だけは、選択するべきではない。
無登録車輌の死亡事故カートの公道通行は違法
東名富士カントリー・磐田社長の預託金返還逃れ疑惑
静岡県小山町にある東名富士カントリークラブでは、プレイ中の女性がカート運転中コースの池にカートごと落ち込み水死した事故があった。
コースからカートごと池に転げ落ち、運転中の女性がカートの下敷きになって溺れ死んだ痛ましい事故。
過去にカート利用者の死亡事故を起こしているにも係らず、利用客に保安対策もなく、車両登録もされていないカートで公道の県道を横断させていた。その情報を得たため、2018年12月に本紙調査班が現地調査を行い、所轄の御殿場警察署へ通報した。
その結果「車輌登録していないカートにプレイ客やキャディーを乗せて県道を通行させた」として警察署から改善指導を受けた。その対応は、「注意カート横断」と県道走行車輌への注意喚起看板を4カ所に設置したのみである。
2019年3月27日付中日新聞によれば、磐田恭三社長は、「カートの改造を視野に国交省に保安基準を問い合わせたところ。公道をカートで横断するゴルフ場は他にもあり、事故は起きていない。横断をやめる、やめないの結論は出していない。改善策を検討中」と改善対策は全く考えていない居直りともとれるコメントを吐いたようだ。
一方、取締側の御殿場警察署幹部は「街中と比べて交通量は少なく、これまで大事故は起きていない。現時点では自発的な対策を求めている。現状が続けば『横断地点でカートの取り締まり』も検討する」としている。
利用客はゴルフ場から貸し出されたカートが違法な無登録状態とは知らず、何ら罪の意識もなく今でもカートで県道横断を続けているのだ。
現地は速度のでやすい直進下り坂の公道、もし一般走行車輌とカートが接触してしまったら重大事故になる可能性が極めて高い。
事故が起こっても違法カートを運転していた利用客には保険金がおりず、同乗者や相手側の治療費、反則金や免許停止処分も全てカートを運転していた利用客が負担する事になる。東名富士カントリーの磐田社長の懐は一切痛まず、責任だけはクラブ会員の利用客になるのだ。
30年以上も違法行為が常態化している異常さを看過できず、御殿場署に対策の期限を問い合わせたところ、期限は切っていないとの回答であったため、磐田社長に改善策を直接にと取材を申し入れたが無視され今に至っている。
納得がいかず東名富士カントリークラブの会社謄本、それに、別法人「神東観光株式会社」の謄本も入手した。なんと、磐田恭三社長の別会社が東名富士カントリークラブの債権を買い取り、ゴルフ場の建物に抵当権を設定しているではないか。
抵当権設定の経緯は不明だが、磐田社長は東名富士カントリークラブと神東観光株式会社の代表者なのだから、抵当権を残したままにせず抹消すべきではないのか。別会社が債権を買い取るなら、東名富士カントリーに直接資金注入して会員の予期せぬ事態にも応えるべきだ。現状では会員の預託金返還逃れ(背任)と疑われてもしかたがない。
西和彦理事長解任で激震の明浄学院
21億円行方不明は理事会通さずの決定的証拠入手 新たな「背任」?
西和彦理事長の解任劇でさらに混迷深まる、大阪の学校法人、明浄学院。本紙・川上は8月特報として、大橋氏が西氏の解任劇を背後で指揮したことを暴露した。
「さすが、タイムズや」
「うちの学校はどこまでダメなのでしょうか」
という声が明浄学院内部から寄せられた。
学校法人のカネで仮想通貨1億円購入したことで、解任された大橋氏。さらに、明浄学院高校の校地売却手付金、21億円も大橋氏の手に渡っている疑惑がある。だが「院政」を敷くように、現在の理事たちを操るのだ。
西氏の解任を「決行」させて、今は校地の新たな買い手を探したり、学校法人への融資、寄付を募っているという大橋氏。
8月20日ころだったという。明浄学院の内部関係者、A氏はこう話す。
「大学の方に不動産業者らしい男性がやってきました。大橋が、電話をよこして、確か理事の小林孝広だったかな、男性を案内していましたわ。高校だけではなく、大学の土地も担保に融資してくれるように、大橋がやっています。なぜ、解任された大橋が理事たちを我が物顔で操れるのか…」
本紙締め切り時点の最新情報では、大阪観光大学のグランドや高校の校地、手付金払っているピアグレースが抵当権設定をしていないところを担保に、2億円から2億3000万円の融資が実行される可能性があるという。
「高校では、校長をおりて常務理事専従になる、絵面功二が『カネは入った。給料もあげてやるぞ』と偉そうに言ってます。生徒や学生の授業料を食いつぶし、資産にまで手を付けているのに」(前出・A氏)
そんな中、大橋氏の21億円疑惑について、その詳細がわかってきた。2017年6月17日に開催された理事会。校地売却のため数社で入札を実施。
〈最高額での買取り提案(約1/2売却として約31億円。手付金21億円提示。売却益と借入金で校舎建設に充当する)
とピアグレースに決まったことが議事録に記されている。おまけにこの理事会には、理事でもあったピアグレースの山下隆志氏が出席。理事の会社に「利益供与」している疑念が生じる。
2017年7月15日も理事会を開催。この時点で、校地に抵当権設定がされ、ピアグレースから手付金が支払われている。だが、議事録には21億円がどうなっているのか、記載がない。理事会には、理事を退任した山下氏が「陪席者」として出席しているにもかかわらずだ。
21億円をサン企画に預けたという大橋氏の行為は、1億円の疑惑と同じく、理事会を無視して独断でやった疑惑が浮上する。
西氏解任、大橋氏「院政」が垣間見える明浄学院。大橋氏は絵面氏、小林氏とともに他の学校法人の取得にまで動いているというウワサも流れている。
そして、大橋氏と対立して去っていった元理事の大塚哲也氏。大橋氏の1億円疑惑を刑事告発したというニュースが広がって以降、あまり話題が聞かれない。
「大塚氏は、大橋氏を大阪地検に刑事告発している模様。松本氏ともう一人、海外出張に行く際に連れていた山本顧問と呼ばれる人がいます。今も情報を集めているようで、何か仕掛けてくるのかと理事たちは戦々恐々です。もううちは高校も大学も教育の場ではない。誰が儲ける、誰がクビを切られる、戦場です」(前出・A氏)
大塚氏が解任された6月22日。理事会の途中で、大塚氏は退出するように求められた。そしてもう一人、大塚氏と行動をともにしたのが、側近の松本昌善事務次長。本紙のカメラは2人が談笑しながら、高校から出てくるシーンをとらえていた。解任されたというのに、あの不敵な笑み。その影には、何か新たな策略があるのか?
明浄学院に対して本紙・川上は2年以上も警告を発してきた。ホワイトナイトとして乗り込んだ、西氏をも解任した。とても自浄作用は見込めない。早急な警察、検察権力の介入が必要ではないのか?
「反社」排除の「誓約書」に「清水一族こそ反社? よくいうよね」のブーイング
寿和工業・名進研・としわ会、清水氏一族の「行状」を”ブツ”で研究(その5)
本紙・川上が追及している、産廃会社の寿和工業(現フィルテック)、名進研小学校の母体、学校法人名進研学園、医療法人としわ会を牛耳ってきた、清水利康氏をはじめとする、清水氏一族。
1996年10月、産廃処分場計画を巡って、岐阜県御嵩町の柳川町長が襲撃された事件で“疑惑”の目が向けられたのが、寿和工業であり、清水一族。当時は、寿和工業の取締役という要職にあった、清水氏。
1月号では清水氏らのことを名進研小学校の関係者が、
〈正直、ヤクザより怖いんです〉〈例えば親戚や子供にいろいろ攻撃をしてくる〉
と語っている証言をお伝えした。
柳川町長襲撃事件の法廷では、寿和工業から六代目山口組弘道会の元組員、関係する右翼団体と深い関係にあったことを4月号ではリポート。
要するに、寿和工業、清水氏一族の背後には「反社」が見え隠れするのだ。
今回の「ブツ」は清水氏が名進研小学校の理事長時代に出した〈誓約書〉という書面だ。名進研小学校の創立者、豊川正弘氏ら豊川氏一族を追い出し、清水氏が理事長になったのは2015年7月。
「清水氏が理事長になると在学誓約書、入校許可書など馴染みのない言葉が飛び交うようになり、書類の提出も求められた。一番、腹が立ったのは誓約書です」
と名進研小学校に子供を通わせる保護者が取り出したのが先の〈誓約書〉だ。
その中身は、
〈私は、次のいずれ(以下総称して「反社会的勢力」といいます。)にも該当しないこと、かつ将来にわたって該当しないことを誓約します。
①暴力団
②暴力団員〉
などと続き
〈私は、反社会的勢力又は反社会的勢力と関係を有するものとの一切の関係を持ちません〉
と結ばれ、署名欄がある。
柳川町長襲撃事件の関連した盗聴事件の法廷では、寿和工業から1億円を超すカネが六代目山口組弘道会の元組員や関連の右翼団体に渡っていたことが「証明」されている。
寿和工業はそんな暴力団関係者に億単位の「仕事」があると、資金提供まで示唆。まさに反社会的勢力ではないのか?
「最初はなぜこんな誓約するのか、おかしいという感じでした。それが大きな批判となったのは、清水氏が寿和工業の役員だったことがわかったからです。反社会的勢力ではない、かかわりないと誓約をいうが、それは清水さん、あなたよく言うよねと。おまけに、名進研小学校には清水氏の子供も在籍。反社会的勢力の子供を入れていいのか、恐ろしい理事長、幹部だと感じました」
と先の保護者は言う。
それゆえ、保護者たちは立ち上がり、清水氏を糾弾しはじめたのである。その結果、2016年2月、名進研小学校は〈お詫びとお知らせ〉という文書を配布。問題となった〈誓約書〉について、緊急理事会に諮って、
〈提出不要といたします。不適切な表現を含むものであることを認め、撤回させて頂きます〉
と全面的に非を認めているのである。
現在、清水氏は役職にはついていないが、名進研小学校、寿和工業、としわ会に「オーナー」として君臨しているとの情報もある。事実、医者であり、医療法人と学校法人の理事長だった。この文書にあるように〈反社会的勢力との関係遮断〉をしなければならない。清水氏らは、人に言うより、まず自分自身を見つめ直すべきではないのか?
阿波踊りは台風で中止
後藤田衆院議員に次期衆院選で自民党が対抗馬、徳島政界も大荒れか?
徳島名物「阿波踊り」の闇を本紙・川上は書いてきた。ここ数ヶ月はお休みを頂いていると、
「タイムズさんは、もう阿波踊りの闇を暴かんのか」
との声。そこで、8月に終わったばかりの阿波踊りについてお届けしよう。
徳島市観光協会と徳島新聞社が主催してきた阿波踊り。徳島市の遠藤彰良市長と徳島新聞社、後藤田正純衆院議員の「悪のトライアングル」がダメにしてきたと訴えてきた。
今年の阿波踊りは本紙既報の通り、徳島市が民間事業者を公募。キョードー東京を中心とした共同体が受託した。8月12日からの本番を迎えた。
市役所前演舞場での開幕式。「悪代官」遠藤市長も登場。
「たくさんの人に来ていただいて」
と挨拶をはじめる。だが、たくさんいるのは、マスコミばかり。
「どこ見てんのや」
とあきれた市民はそうつぶやく。
挨拶が終わると、オープニングの阿波踊り。なんと遠藤市長も踊るのだが、あきれるほど下手。
「あれは阿波踊りやない。あんな下手くそに、ボロクソ言われて、ほんま腹立ちます」
と話すのは、阿波おどり振興協会の山田実理事長。
昨年、阿波踊り最大の華「総踊り」を遠藤市長は
「両手上げて、ぎゅうぎゅう詰めで踊っているだけ。阿波踊りではない」
と批判し、中止させた。
今年は、阿波おどり振興協会も協力し「総踊り」は復活。紺屋町演舞場は大入り満員。すさまじい熱気に包まれた。キョードー東京の前田三郎社長は、
「総踊りはすごい、これが阿波踊りですね」
と話していた。昨年「総踊り」を中止させた遠藤市長は、まさに「失政」だ。
今年は8月14日、15日は台風で中止。チケットの払い戻しなどで赤字は1億円という。
そして、もう一つ「失政」が明らかになった。本紙・川上が書いてきたように、遠藤市長が昨年5月、破産させた徳島市観光協会の存在だ。
単年度でみれば、阿波踊りで黒字を出していた協会。徳島市はわざわざ金融機関から債権譲渡を受け、破産させた。債権の総額は3億9300万円。配当は3億3200万円。配当率は約84%。赤字は約6100万円。
「遠藤はほんまアホやけんの」、と債権者の一人は吐き捨てるように言う。
協会は破産の前年は2600万円の黒字を出していた。その前も黒字。配当率から見ると、ちょっと古いデータだが、司法統計2004年版〈破産事件の配当による終結事件数―通常の破産債権者に対する配当率別〉では、5728件の破産事件で、75%を超す配当率は104件、18%ほどだ。
「85%もの配当率は異例ですよ」、と破産事件に詳しい弁護士
もし、協会がそのまま主催をして台風などで中止がなければ、6100万円など十分に稼げた。先の債権者はあきれたように
「遠藤市長が悪代官と日本タイムズで書いていました。協会の破産、配当率がそれを証明してますわ。つぶさんでそのままやってたら、税金投入の必要なかった」
遠藤市長は来年春が任期満了。2期目の市長選に出馬するとみられる。そのバックが後藤田氏。徳島新聞社も影で支援するのが濃厚とみられる。
「遠藤市長、後藤田氏、悪代官コンビをやっつけないと徳島の未来はない。後藤田氏には、定数減で比例に転出した福山守衆院議員が小選挙区で出馬の構え。一部後援者にも意向を伝えている。遠藤市長にも、あっと驚く対抗馬の名前が浮上している」
と自民党県議は話す。
阿波踊りをきっかけに徳島の政治状況は風雲急を告げている。