2020年6月
- 目次
- 国滅ぶとも正義は行わるべし 稲田検事総長の踏ん張りで組織死守
- 日本の背骨を歪めたのは誰だ! 黒川検事長の不法定年延長の仕掛け
- 東京高検検事長・黒川氏の賭け麻雀で「訓告」は国民の怒り爆発
- 検察裏金告発の三井環氏は、申請用紙1枚で逮捕の不公平
- 学校法人に巣喰うハイエナ集団の舞台裏②
- 理知の杜→芦屋学園→明浄学院の流れで真相解明
- 絵面功二の口座3億は買収金 大阪地検特捜部の下地捜査に期待
- 秋篠宮家の御指南役が登場
- 大阪観光大学・赤木攻学長の役割は意味深
- 麦島建設・優越的地位の濫用裏金作り
- 餃子点天・五反田ビル解体時のPCBの不法な行方
- 香川県警の捜査放棄と冤罪捜査(その206)
- 本紙川上を襲う暴力団の銃撃と検察捜査に終止符を
- 襲撃1カ月前の偽装破門状 「殺害動機」若林組を見返してやる
- 捜査放棄を強いる腐敗構造の実態を暴け
- 「チサンマンション栄」伊藤六栄理事長の絡みから
- 明浄学院・大橋被告が先に狙った群馬県も学校法人
- 大橋被告と麦島善光ラインの巧妙な乗っ取り手口は必然
- 大村愛知県知事への「300万円」政治資金は清水利康氏でなく妻の仮装なら違法?
- 寿和工業・名進研・としわ会、清水氏一族の「行状」を“ブツ”で研究(その14)
- 元大阪高裁判事 生田暉雄弁護士の検察庁法解説
国滅ぶとも正義は行わるべし 稲田検事総長の踏ん張りで組織死守
「木の葉を隠すなら森に」
これ、探偵ものの小説で読んだことがある。賢い犯人が罪を犯すときに逮捕されないように頭を巡らすそうだ。
ずっと長年に亘って安倍晋三氏を追及してきた本紙川上は、この言葉で納得できた。
三権分立を例えは悪いが、三竦みの、蛇と蛞蝓、それに蛙を安倍モンスターチームとして同居させ、民主主義では大事な役割の報道をも同居させた構図が現実として白日の下に晒されたのが、現状ではないのか。
黒川弘務・東京高検検事長が、10年も前から賭けマージャンを報道(マスコミ)関係者と繰り返していたとなれば、「三竦みの同居」の表現を批判されることはない。まさに安倍モンスター政権は、蛇と蛞蝓と蛙の同居だったのだ。
河井克行法務大臣を検事総長に告発したのは本紙川上。検事総長は、その告発を広島地検に回送した。回送された告発の捜査が発展し、今では東京地検特捜部検事や大阪地検特捜部検事もが、事件の全容解明を求めて努力している。
本紙川上が先月12日付で、安倍晋三・自民党総裁の公職選挙法の買収・共謀罪を最高検察庁検事総長に追加告発。
日本の背骨を歪めたのは誰だ! 黒川検事長の不法定年延長の仕掛け
本紙の広島地検への告発から始まった河井克行元法務大臣夫妻の公職選挙法違反221条1号~3号は大詰めを迎えた。先月12日には自民党総裁の安倍晋三内閣総理大臣を共謀罪で追加告発を稲田伸夫検事総長に提出。
2週間後の先月24日付で広島地検に回送したと通知があったので、本紙川上なり事件の見立を描いてみよう。
安倍晋三総理は昨年10月の組閣で、自身に迫る捜査権力の矛先を避けるために、河井克行法務大臣と黒川弘務検事総長を誕生させようと考え(企て)実行に移した。
要するに、安倍総理自身に批判的な溝手参議院議員の落選を狙って、まず河井案里氏に肩入れした構図。そのため、自民党本部から破格の1億5千万円を選挙資金として河井克行夫妻に提供。振り込んだカネは現金化し、キックバックされて(公明党にも)いたという情報もある。本紙川上は良識派の稲田検事総長に公職選挙法違反の共謀罪で安倍晋三・自民党総裁を告発したということ。
その後、焦った安倍晋三総裁は黒川弘務氏を検事総長に就任させて、捜査対象からの回避を狙ったと本紙川上は推測する。
だってそうでしょう。
森友・加計・桜を見る会、これらは捜査対象として検察が取り扱うべく案件なのだから。
日本を変革する捜査も目前に迫ったので、本紙川上が先(5)月、最高検察庁の検事総長へと提出した日付順の告発状況を並べてみよう。
▼12日付で最高検察庁検事総長に自民党総裁の安倍晋三(内閣総理大臣)を公職選挙法違反の買収・共謀罪で告発。
▼22日付で、黒川弘務・東京高検検事長が辞職。
▼24日付で、本紙川上が告発人の告発状を最高検察庁は広島地検に回送したと通知。
▼26日付で名古屋高検検事長林真琴氏が東京高検検事長に就任。同日、東京地検特捜部が自民党本部で河井元法務大臣夫妻への1億5千万円提供の事情を聴取。
どうであろう。日本の背骨である良識派の捜査権力が目覚めたのである。
三権分立の司法を司る捜査権力が行政のコントロール下に位置してはダメなのだ。捜査権力は法に照らして事実に基づいて捜査を展開、それが民主主義の重要な三権分立の配置の役割分担なのである。それを見守るのが報道の役割で、国民に判断できる事実を提供して知らしめるのが第四の権力(報道)ではないのか。
後藤田正晴氏が当時、本紙川上30歳頃にこう言った。
「君ね、頼まれごとを警察には聞いてもらうこともあるが、検察に対して言ったら、なお厳しくくるよ…」
「検察の在るべき姿」はこれ。政治家から「畏敬の念」を持たれて、なんぼのもんだ。
安倍晋三総理が、何を勘違いしたのか検察の人事にまで手を突っ込んできた状況や関係は、コロナ禍を機会に一掃すべきである。
ここで、先(5)月を境に日本が変わりつつある現状を、5月31日の(ABEMA/『ABEMA Prime』より)で確認してみよう。
《…党本部関係者への聴取については「原資が1億5000万円から出ていたのであれば、それを調べるのは普通のこと。原資を渡す側と受け取る側との間で、その資金で買収をすることについて合意があれば共犯は成立するが、本件でそのような合意があったとは考えにくい。仮にあったとしても、その立証は簡単ではない」と話している。》
本紙が変わりつつあると表現したのはここ。
〈合意があれば共犯は成立するが、本件でそのような合意があったとは考えにくい。仮にあったとしても、その立証は簡単ではないとある〉
そこを良識派の捜査権力が突破して、日本の次世代の国民が信頼できる政権を迎えたい。(もちろん有権者の判断力が発揮できる状況で)
引用を続けてみよう。
《森氏は捜査の進捗状況について「国会議員の捜査でもあるので、時間がかかる。逮捕なのか略式起訴なのかは微妙だが、今は会期中なので、不逮捕特権のある議員を逮捕するためには、国会に逮捕許諾請求しなければならない。
いずれにせよ、会期末まで待って、本格着手するという段取りだと思うし、安倍政権としてもある程度は覚悟せざるを得ないという状況にある。
“辞職したから勘弁してください”ということもあるが、今回は東京や大阪からも応援部隊が入っているので、そういうことはあり得ないと思う。
克行さんは法務大臣でもあったので、安倍さんの任命責任も問われる事態になる。そこにあえて地検が切り込んでいくということなので、相当な覚悟もあると思う。
このような選挙違反は警察が手掛けることが多く、検察が手掛けることはあまりない。
しかし今回は国会議員夫妻が絡んでいる特殊な事件でもあるので、特に検事総長が指揮を執って捜査をしている。家宅捜索もしているし、事情聴取も終えているので、広島地検による捜査はかなり順調に進んでいると思う」と話す。
その上で、「発端はウグイス嬢に対する報酬を定められた1万5000円の倍にあたる3万円も払っていたという問題だった。これは言ってみればよくある話で、全国で告発がある。
今回、そこを端緒にして、1000万円以上の買収の立件が可能というところまで捜査を積み上げてきたということは、検察にもそれなりのやる気があるということだ。政治資金規正法違反よりも、公職選挙法違反(買収)でやりたいと思うが、この金が選挙に使われたということを立証できなくてはならない。
選挙違反の中でも買収は贈収賄事件とよく似ていて、ものを頼んでお金を渡す、その頼まれたものが何に使われたかということが捜査の上で一番大事になってくるので、時期なども必要だ」と指摘した。》
良識派の検察に期待する。
東京高検検事長・黒川氏の賭け麻雀で「訓告」は国民の怒り爆発
検察裏金告発の三井環氏は、申請用紙1枚で逮捕の不公平
東京高検検事長だった黒川弘務氏が5月22日、辞職した。週刊文春の「文春砲」で新聞記者と賭け麻雀に興じていたことが、発覚したからだ。
本紙・川上はさっそく黒川氏を刑事告発した。賭け麻雀の「単純賭博」と記者に麻雀の場所まで送迎を繰り返し受けていた「収賄罪」である。同じく、一緒に麻雀をしていた、産経新聞のK記者とO記者、そして朝日新聞のO記者も刑事告発している。
告発の理由は、検察は賭け麻雀を取り締まり、処罰する権限を有している。賭け麻雀という「罪」に求刑を行うのだ。東京高検検事長は検察ではナンバー2のポジション。取り締まる側は賭け麻雀とは、許し難い。
そして、黒川氏に下されたのは法務省の内規「訓告」という処分。懲戒相当は明らかだが、実に生ぬるい。
黒川氏は、賭け麻雀をして金銭のやりとりまで認めているのだ。
今から18年前の春、思い出すだけで怒りがこみ上げてくる。本紙・川上がともに戦ってきた、大阪高検元公安部長の三井環氏が、大阪地検に詐欺などで逮捕された冤罪事件。
三井氏に全面協力してきた本紙・川上もきつい取り調べを受けた。その時、三井氏の容疑を聞いて、さらに怒りが倍増したことを覚えている。
三井氏が神戸市内に不動産を取得。登録免許税の軽減措置を受けるために、申請書類を区役所からもらったことが詐欺だという。もう一度いう。申請書類という紙一枚で逮捕なのだ。
一方、黒川氏は賭け麻雀をして、金銭のやりとりまで認めている。黒川氏もきちんと刑事処分を受けなければ、法の下の平等は失われる。検察には、毅然たる捜査を希望したい。
学校法人に巣喰うハイエナ集団の舞台裏②
理知の杜→芦屋学園→明浄学院の流れで真相解明
先月の本紙5月号から新たな情報が寄せられた。連載の値打ちはここにある。新たな情報を盛り込んで紙面化、そして修正、そして新たな情報を盛り込んで紙面化、そして修正。
これを繰り返せば真相に一歩、一歩と近づくのである。さいわい、捜査関係者も目を通してくれているので、本紙も世の中のお役に立っているのではないかと充実感が漲ってくる。一度の命、有難いものではないか。コロナ禍で死ぬより、一回の命、使い切って死にたいものだ。
さて、本紙川上は4月27日付で「麦島善光氏と平川玲嗣氏、それに絵面功二氏」の告発状を検事総長と東京地検特捜部に提出していた。
それが、5月21日付で東京地方検察庁・特別捜査部直告班から返戻された。翌日の22日には東京高検の黒川弘務氏が検事長を辞任した。
返戻し内容はこうである。
《貴殿から提出された「告発状」と題する書面(令和2年4月27日付け)、を拝見し、検討しました(最高検察庁に提出され当庁に回付されたものを含む)。
告発は、刑罰法規に該当する犯罪事実を捜査に申告して犯人の処罰を求めるものですから、犯罪構成要件に該当する具体的な事実を具体的な証拠に基づいて特定していただく必要があります。
しかしながら、前記書面では構成要件に該当する具体的な事実が具体的な証拠に基づいて記載されておらず、告発事実が十分に特定されているとは言えません。
以上の点をご検討いただくため、貴殿から提出された前記書面は返戻いたします。》
この書面が本紙川上に届いた22日には東京高検の黒川氏が検事長を辞任した。その後、26日付けで名古屋高検の林真琴検事長が東京高検の検事長に就任。同日、本紙川上が告発した安倍晋三氏が総裁の自民党本部に東京地検特捜部が事情聴取に入った。
組織は人だ。誰が組織のトップに座るのか。これほど明確に捜査権力の在り方が、人によって(安倍派の黒川VS良識派の林)示されたことはない。
本紙川上は再度、返戻された同じ告発状を検事総長と東京地検特捜部に提出するつもりである(明浄学院絡み事件なので、大阪地検・名古屋地検・東京地検の合同捜査で頑張ってほしい)。
絵面功二の口座3億は買収金 大阪地検特捜部の下地捜査に期待
明浄学院の本来の役割、学校の役割である生徒を守るために本紙の告発状の要点部をおさらいする。
【告発事実】
《被告発人麦島善光は、株式会社麦島建設、株式会社ZENホールディングスの相談役・実質上の統括者であるが、自己及び学校法人明浄学院の常務理事・校長である絵面功二の利益を図り、㈱麦島建設、㈱ZENホールディングスに損害を与える目的で、令和元年12月頃、明浄学院(大阪所在)を取り仕切っている被告発人絵面より、㈱同校の理事長就任を誘われ、絵面と共謀のうえ、絵面の個人口座に、㈱ZENホールディングスの資金3億円を理事長就任の謝礼金として振り込み、㈱ZENホールディングス相談役としての任務に背く行為をして㈱ZENホールディングスに財産上の損害を加える会社法960条の特別背任罪を犯した者である。》
要するに、当たり障りないような告発状であるが、告発人を呼んで証人の確認や証拠などの確認をするべきである。
本紙川上とすれば、捜査放棄と冤罪捜査を連載して20年近くなる経験から、相手の対応姿勢を考慮して告発の手続きを取っているのである。
本紙の告発は現に、安倍総理の妻昭恵氏や秘書だった谷氏、佐川氏、柳瀬氏などを東京地検特捜部に告発したが、ことごとく先に書いたように返戻された。それでも本紙川上は諦めない。告発する、送り返される、告発する、返戻されるを繰り返さなければ見えないものがある。長い歴史の中で築かれた腐敗構造を見抜くには、長い時間と繰り返しが必要なのだ。ボディブロー、同じところ(政権)に拳をぶち込む。媒体を通じて、テーマを選んで連載する。そこから真相が見えてくるのだ。
秋篠宮家の御指南役が登場
大阪観光大学・赤木攻学長の役割は意味深
コロナ禍のお陰で、本紙川上の目にも日本の現状の姿が見えてきた。日本の背骨を歪めている現状と言った方が分かりやすいかもしれない。
まず、ご本人(個々)には罪の意識はないかもしれないが、取り巻きという組み合わせの仕組みの効果で、犯罪が成立する場合もあるではないか。現在の安倍政権がその具体的な例だ。
さて、この記事をウエヴに見つけた。
《2017.09.05 赤木学長がNHKの特番「眞子さまの婚約記者会見」に出演しました。
9月3日(日)NHK総合テレビで放送された「眞子さまの婚約記者会見」特別番組(15時から約40分)に、赤木攻学長がゲストコメンテーターとして出演しました。
放送の中では、眞子様との幼少期の思い出やこれまでの交流のようす、婚約内定に対する祝辞が伝えられました。
赤木攻[大阪観光大学学長]……》
なんと、赤木攻氏は大阪観光大学・学長兼明浄学院理事長でもあったのだ。大橋美枝子理事長が逮捕される半年余り前の入学式でも赤木学長は挨拶していた。写真には大橋美枝子理事長の姿も。
麦島善光氏の明浄学院乗っ取り計画は着々と進む。赤木学長の紹介で、さくら共同法律事務所(河合弘之所長)の高野裕之弁護士が担当するので大阪地裁も無碍にはできないようだ。
協力メンバー、赤木攻氏・絵面功二氏・山田良治氏・橘弘文氏・黒田能史氏・湊與安寧氏…。カネの力は恐ろしい。
麦島建設・優越的地位の濫用裏金作り
餃子点天・五反田ビル解体時のPCBの不法な行方
本紙川上は2年ほど前、㈱麦島建設東京支店の平川玲嗣支店長から裏金作りを持ち掛けられ困っているとの相談を、下請けの㈱渡島工業大塚社長から受けていた。いわゆる、優越的地位の濫用だ。令和2年3月に入って、その大塚社長と再会することに。問題は解決していなかったのだ。
平成28年10月頃、㈱渡島工業が餃子の㈱点天(五反田ビル)の解体工事を、㈱麦島建設から1千4百万円で請け負う。見積書はRCだったから。ところが実際は、SRCなので見積額が2千3百万円になる。
麦島建設の平川支店長に相談したところ、今から見積書の変更は出来ないと言われ仕方なく1千4百万円で工事を完了させた。すなわち、600万円は渡島建設が負担させられた。その他、追加工事が500万円であったが、麦島建設から回収できた金額は1千9百万円のみ。渡島工業が差額の9百万円は負担させられたことになる。
平川支店長は別の工事で帳尻を合わせるから我慢しろと恫喝する始末。別の仕事が貰えると思い我慢していたが、仕事を貰っても帳尻合わせるどころか、多額の裏金を要求され困り果てた。
渡島工業の下請けへの支払いと税金の支払いを考えると、実際は赤字の状況だ。
また、こんなことも。
解体工事の時に出たPCBを麦島建設・平川支店長の指示で、渡島工業の倉庫に保管しているが、麦島建設はこのPCBをいまだに引き取りに来ない。
ビル解体時のPCBは、「変圧器に含む有毒廃油」なので処理業者に速やかに引き取らせなければならない。
解説にはこうある。
《廃棄物処理法では、PCB 廃棄物は特別管理産業廃棄物(ごく一部に、特別管理一般廃棄物)とされ、収集・運搬の基準、委託の基準等に関する定めがある。 PCB 廃棄物の収集・運搬に係る基準等は、廃棄物処理法に定められているが、その他、その取扱いについては、PCB 廃棄物中の PCB の含有量(中略)や引火点に応じて規制している関係法令を遵守し、適切に行わなければならない。》
麦島建設東京支店・平川支店長の話はこうだ。
「㈱点天からの委任状を貰ってないので、とりあえず渡島工業の倉庫に保管してくれ」と。当然、すぐに処分してくれると思い一応、保管した。
ところが、麦島建設に何度も引き取り依頼をしても一向に処分する様子もなく、時間だけが経過した。
令和2年4月に麦島建設の代理人、さくら共同法律事務所の高野裕之弁護士にもメールでPCBの撤去及び処分を伝えた。5月中に処分するとの返事だったが、いまだ撤去も処分もなされないまま。
麦島建設東京支店の担当者も5月に退職、後任者も暫く決めないとの返事が返ってきた。麦島建設は、平川支店長の不正行為が発覚して以来、東京支店の決裁権を名古屋本社に移し、社員の多くも退職しているとも聞く。
このまま後任担当者も決まらず、代理人弁護士も明確な解決策が提示されず時間だけが引き延ばされたのでは、渡島工業も堪ったものではない。
ここでも本紙川上は、天の配剤を感じざるを得ない。
だってそうでしょう。麦島善光氏の「明浄学院」乗っ取り計画に、この現金という裏金が使われた可能性もあるではないか。
香川県警の捜査放棄と冤罪捜査(その206)
本紙川上を襲う暴力団の銃撃と検察捜査に終止符を
高松地検特別刑事部の陣頭指揮で、5年前の平成27年6月2日朝、本紙事務所など8カ所がガサ入れされた。当時の四国タイムズ5月号には、杉田官房副長官が川上にガサ入れすると、予告とも取れる記事を掲載していた。
なぜ、高松地検からガサ入れされたのか。それも信頼していた渋谷検事から。
見出しにもある、本紙川上は香川県警腐敗組と結託した暴力団若林組から、平成9年には家族団欒の自宅に向け銃撃、平成12年には家族同乗の本紙川上が運転する車を鉄パイプで襲撃、平成18年には六代目山口組系の二代目若林組幹部・森裕之が自宅に帰った本紙川上を至近距離から銃撃。
これらの事件はどれ一つ、真相解明に至っていない。
本紙川上は平成9年の事件を「香川銀行O頭取が殺人依頼の疑いも 実行犯は若林組」と掲載。これは名誉棄損で高松地検に訴えられ懲役10カ月執行猶予3年の判決。
平成27年には香川県のW弁護士らが六代目山口組司忍組長に殺人依頼したとの記事を高松地検に名誉棄損で訴えられ、高松地裁が懲役1年6カ月執行猶予5年の判決。
本紙川上が、命に関わる家族が巻き込まれた三つの未解決事件を解決してもらいたいとの一心で、連載記事を書き続けているのだ。香川県警腐敗警官との共謀正犯の襲撃事件を、なんとしても解決してもらいたい。
記事内容を荒唐無稽だと決めつけず、良識的冷静に捜査を進めれば腐敗警官の存在が浮かび上がる。本紙の記事をなぞって捜査が進められれば全容解明できる。真相解明で事件解決なら掲載の必要なし。
襲撃1カ月前の偽装破門状 「殺害動機」若林組を見返してやる
捜査を職業に選んだ人なら、この二つの小見出しを見ただけで暴力団特有の偽装破門だと見抜くはず。
実行犯の森裕之は、二代目若林組篠原重則組長の息子・一雄の養父。組長秘書という肩書を持つ幹部で格闘技に長け組員に武道の稽古を指導する立場でもあった。平成18年3月7日夜、高松市屋島東町の自宅に車で到着し、車を降りて敷地に入る門扉までの間で拳銃を発射し本紙川上を殺害する計画を実行に移した。
横5メートルから発射した2発の銃弾は、高さは正確だったが、左右の動きに狙いが外れ、門扉に飛びついた本紙川上の後ろ2メートルから発射された銃弾は、本紙川上の「てぇやー」という気合で、左右は正確だったが、左に逃げるために拳銃が下がり本紙川上の右踵に命中した。
殺害に失敗した森裕之は腐敗警官との打ち合わせ通り相引川沿いにある仲間が待機していた屋島マリーナに立ち寄り、二代目若林組の川合本部長に携帯で電話。その後、庵治の志度警察署派出所に出頭。
本紙川上の殺害に失敗した腐敗警官は焦った。予定を変更して実行犯森裕之の身柄を急遽、志度署ではなく高松北警察署に変更。翌朝、当時の北警察署石川譲署長が高松地検に出向いて実行犯の森裕之を単独犯で処理する打ち合わせをしたようだ。
兎に角、本紙川上の家族が巻き込まれた命に関わる三つの未解決事件を解決してもらいたい。要するに、本紙川上が事件解決に拘るのは、暴力団若林組よりも香川県警腐敗組の警官の方なのだ。
国の背骨は公務員(警察官)。この公務員が拳銃トカレフを提供して川原豪に本紙宅を撃たせたり、山中敏勝に鉄パイプで襲撃させたり、森裕之に本紙川上殺害の手助けとは看過できない。
さいわい、平成15年には高松高検の宗像紀夫検事長が名古屋高検に異動する際、後任の斉田国太郎検事長に鉄パイプ事件の再捜査を申し送ってくれた。6月には高松地検の特別刑事部・徳久正部長検事、恒川由里子検事、曽根英雄検事が家族3人の調書を取り直してくれた。被害者川上からすれば、この上ない感謝だ。
捜査放棄を強いる腐敗構造の実態を暴け
「チサンマンション栄」伊藤六栄理事長の絡みから
名古屋の「チサンマンション栄」管理組合理事長の伊藤六榮氏が、テキシアジャパンの居酒屋「駄々」との関係が強く、反社会的勢力の「みかじめ料」に深く関わっている疑いを本紙前号で紹介した。
さらに、このチサンマンション栄で、新たな犯罪が行われようとしているのだ。
このような社会構造にしてしまった安倍政権は、名古屋「チサンマンション栄」にも強く影響している。本紙はこの事件を、反社会的勢力の本場となっている名古屋での事件として報道している。
このチサンマンション栄理事長の伊藤六榮氏は、今度もとんでもないことを企んだ。このマンションの総資産の殆どの1億2千万円全てを、大規模修繕だと称して費消しようとしているのだ。
その手法はこうである。
去年8月の定時総会では「多くの業者の見積を開示して、説明会を開催、臨時総会で業者と工事内容と費用を決める」と決議をした。その後、突然に今年3月5日、臨時総会を開催した。
この時期はコロナの影響で、3密が制限され、臨時総会の会場が閉館していた。当然に開催は断念すべきだった。ところが理事長は、会場が閉館している事実を知りながら、誰にも案内をしないで、急遽マンションロビーで開催したのだ。外出を自粛していた住民は、誰もロビーで開催しているとは夢にも知らない。
なんと、そこで伊藤六栄理事長は、お仲間の理事会さながら臨時総会として、工事金額も伏せ、中区にある㈱杉本組を請け負い業者として独断で決議した。もちろん理事長に逆らう理事は誰も居ない。随意契約業者との説明もあるが、随契と言うレベルの業者でもない。マンションに随契は明らかに不自然である、まるで当初の安倍のマスク業者である。この説明会でも工事金額を伝える事もしない隠密工事の議決であった。
そして4月、勝手に決めたこの業者の説明会を開催した。業者説明会でも、臨時総会でも、工事費用が幾らなのか誰も知らないまま。度重なる「見積の開示請求」を頑なに拒否し続けている。
そして工事が開始された現在も、この工事費用が幾らなのか誰も知らないのだ。
疑問のある読者もいるはず。「何故こんな事が、できるのか?」、それは「マンションの自主管理」に仕組みがある。管理会社であれば国土交通省の会社に対する罰則もあるが、「自主管理」だと取り締まる法律が無い。
しかもこの伊藤六栄理事長は、マンション管理組合を自主管理開始の時に勝手に立ち上げ、役員選挙と称するが一度も実施しないで、苦情を言うものには立候補すらさせなかった。そう、理事はこの理事長の指名だったので、独裁状態を維持した乗っ取りである。
マンション住民にも疑惑を持つものが居り、この情報開示を一切しない理事長が隠蔽した工事の一つを独自の調査で明るみにした。それが今まで本紙で明らかにした「東邦ガス㈱の不正工事である」。
事実を明らかにされた理事長は、明らかにした住民らを「名誉毀損」で訴えたが、これは反社会勢力の常套手段である事は言うまでもない。
明らかに、情報開示をしない事実がこの裁判の論点。
理事長側は訴えた「原告」であるにも関わらず、訴えの原因を何度も変更し、最終弁論でさえ訴えの主張を変更した。担当裁判官の松田敦子裁判官も流石に「いい加減にして下さい」と思わず発言したほど酷い状況であったのだ。
当然訴えた側の訴訟の根拠が定まらない裁判は通常なら即「却下」となり、敗訴が決定的であるはず。しかし、名古屋地方裁判所は住民らの敗訴と判決をしたのである。
原告側の伊藤六栄理事長は、この判決をいい事に上述した見積額を提示する事なく、独断で工事業者と工事金額を決定した。これでは、名古屋地方裁判所が機能していない現状が窺えるではないか。
これ等の判決は正当性を欠くので、即控訴し控訴審が開始し、この為に開始した違法工事にも「臨時総会不存在」としての工事の違法性を明らかにする裁判も開始した。
何故なら、決議に至るまでの経緯は違法性が強い。
工事内容からすれば明らかに高額で、何倍もの工事金額との指摘も出て不正を強く疑わせる工事である。過去にも部下の副理事長の会社が工事した監視カメラ工事は定価の倍と言う高額でもあった。
摩訶不思議なのは、このような背任とも言える行為を警察も黙認し理事長の疑惑に関心を示さないのである。
かつてこの理事長は「有印私文書偽造同行使」で検察に送検されたが、罪を理事長が認めていても不起訴処分にした、この時の警察官は正義感が強く、この理事長が駄々に司新聞を手に出入りする事実も捜査で明らかにし、反社会的勢力のメンバーであり、横領・背任・詐欺・等の疑いがある旨も検察に通達しているにもかかわらず、検察は不起訴にしたのである。
この後は、警察官が正義に捜査しようとしても、結果を出すことを上層部が認めない旨の説明をしている。これが、先に述べた「地方への深刻な影響」である。
歯がゆい限りであるが、全く警察・検察・裁判所が正常に機能していないのである。
それをいい事に、この伊藤六栄理事長は犯罪行為を自由に堂々としでかしているのである。この名古屋では行政・司法が無力化し、住民の生活にも支障が出ていることを良識派の捜査権力にも知ってもらいたいものである。特に名古屋高検検事長から東京高検に異動された林真琴検事長には、期待したいものだ。
明浄学院・大橋被告が先に狙った群馬県も学校法人
大橋被告と麦島善光ラインの巧妙な乗っ取り手口は必然
本紙が追及して3年となった、大阪の学校法人明浄学院。昨年12月に理事長だった、大橋美枝子被告が21億円の横領容疑で逮捕。まもなく、逮捕から半年近くになるが、まだ初公判の期日は決まっていない。
「新型コロナウイルスの関係で、裁判所がストップ。そこに被告人が複数で主張が違っているので、調整に時間がかかっている」(検察関係者)
現在、明浄学院では、実質的に学校経営が破綻。民事再生手続きが認められ、裁判所から選任された弁護士が再生計画を進めている。
明浄学院では、新しいスポンサーを模索するため、管財人の中井康之弁護士は〈学校法人明浄学院へのご支援に関するご提案について〉という文書を発出した。
明浄学院側から一定の資料を開示。支援に手を挙げるスポンサー候補に5月25日17時までに提案を出すように求めている。
「スポンサー候補は20近くあった模様」(明浄学院関係者)
暴力団、ブラックなどという言葉が飛び交い、21億円ものカネが横領され、破産寸前の明浄学院になぜそんな数の候補がいるのか。
阿倍野区の明浄学院高校の校地に21億円を投じて、抵当権設定していたプレサンスコーポレーション。管財人と話し合い、4月9日に「合意解約」という形で抵当権が解除され、土地が明浄学院側に戻ったことが大きいとみられる。
一方、逮捕された大橋被告は2月までは確実に大阪拘置所に収容された状態だった。保釈金が用意できないという。
「自業自得じゃないですか」
と話すのは、大阪から遠く離れた群馬県の女性。2008年から2009年にかけて、大橋被告は群馬県を頻繁に訪れていたのだ。
その手には、大橋被告の携帯電話の番号、岡山県での経歴や経営している会社名、群馬の地で学校法人を狙っていた「悪のたくらみ」がメモされていた。
大橋被告が狙ったのは、学校法人堀越学園。群馬県と長野県で大学や高校を運営していた。当時、理事長だった堀越哲二氏の放漫経営がたたって、経営難に陥っていた。
「大橋被告がいきなり事務局長になったのは2008年12月だったと思う。学校法人に1億5千万円とも5億円ともいわれるカネを寄付したか貸した。カネの力で事務局長になったと聞いた」
と当時、学校法人の組合幹部だった人は言う。
だが、大橋被告は2009年3月に堀越氏との対立もあって、学校法人を去る。
「大橋被告がカネを横領した疑惑が浮上。学校法人にいることができなくなった。その後も大橋被告は学校法人を手に入れようとしてさまざまな圧力を加えてきた」
と女性はいう。
そのメモには〈山口系 住吉会?〉〈元ライブドアの大塚〉〈チョドウインにもうらみかう?〉などと記されていた。
「大橋被告は自身の口で山口組のH組と親しいと話していた。ライブドア副社長の大塚哲也氏も群馬に顔を見せていた。大橋被告が、岡山県の大山武夫氏、小林孝広氏と高崎駅近くのホテルで会っていたのも知っている。チョドウイン? それは朝堂院大覚という、ヤクザのような風体をした人。大橋被告や山口組のH組と一緒に学校法人を乗っ取ろうとしていた人」
と説明したのだ。
大山氏、大塚氏、小林氏に加えて山口組のH組、朝堂院氏らを交えて学校法人に多額のカネを入れて、乗っ取ろうとする大橋被告の手法。まさに明浄学院とそっくりだ。
堀越学園での失敗を学び、明浄学院はまんまと手に入れることができたのか?
2012年、堀越氏は横領容疑などで逮捕され実刑判決を受け、学校法人から去った。
「堀越氏が逮捕の時、群馬県警に頼まれ、情報提供した時に書き留めたのがお見せしたメモ。大橋被告も警察から事情聴取されたと聞きました」
と先の女性は言う。
学校法人堀越学園は文部科学省から解散命令を出され、消滅した。長野県の創造学園については、学校法人理知の杜・松本国際高等学校という名前で現在も存続している。
理事長は、麦島善光氏。すでに本紙で報じている、麦島建設、ZENグループの麦島氏と同一人物だ。
麦島氏は、現在、明浄学院の支援にも手を挙げていることはすでに書いた。一連のごたごたで理事には就任していないが、評議員は解任されていないと、会合に参加している。
明浄学院では、大橋被告が学校を混乱させ、21億円を横領。学校経営が破綻し民事再生となった。
堀越学園でも、大橋被告を中心に反社会的勢力とみられる人物が学校に入り込み、放漫経営、横領などで混乱させる。経営破綻し堀越氏が逮捕。
堀越学園も明浄学院も、学校経営が立ちいかなくなると、スポンサーに名乗りをあげているのが、麦島氏。
こんな「偶然」が2度もあるのだろうか? にわかに信じがたい。浮上した大橋被告―麦島氏のラインととりまく、反社会的勢力。
本紙は次号でさらなる追及を予定している。
大村愛知県知事への「300万円」政治資金は清水利康氏でなく妻の仮装なら違法?
寿和工業・名進研・としわ会、清水氏一族の「行状」を“ブツ”で研究(その14)
日本のプロ野球史上に輝く、400勝投手、金田正一氏の母校、高校野球の名門、享栄高校の学校法人の「買収」をも計画。
そのために、5000万円とも言われる、巨額の資金を投じていた、寿和工業元取締役、医療法人としわ会元理事長、学校法人名進研学園元理事長、進学塾の名進研現オーナーとされる、清水利康氏。
本紙・川上は昨年1月、清水利康氏と妻の沙由里氏、そして愛知県の大村秀章知事を刑事告発した。今年になって、起訴猶予処分という判断を、名古屋地検は下した。
真っ白なら「嫌疑なし」となる。何らかの疑惑があったから「嫌疑不十分」となり、本紙・川上は“グレー”な判断だと認識している。
そんな中で、清水氏が沙由里氏と離婚をしたのではないかという情報が飛び込んできた。清水氏の日本での自宅は、名古屋市昭和区にある豪邸だ。
「もう3、4年前から、奥様の沙由里さはいらっしゃらない。離婚されたと聞いています」
と近所の人は言う。
そこで清水氏の自宅近くを訪ね歩くと、親しかったという人物にでくわした。
「あなたが日本タイムズさんですか? 毎月のように利康氏や清水氏一族、寿和工業の関係の記事を楽しみに拝読しています」
という本紙の愛読者であった。
10年以上前から清水氏を知っているというこの知人。そこから飛び出した言葉に驚かされた。
「清水氏と沙由里氏は、2,3年前に離婚したはず。沙由里氏がたまに、名古屋市の自宅に来るようですが、清水氏は長女、長男が学校に通っているという、スイスで暮らしているのでしょう。離婚の原因ですか? さすがに具体的には聞いてない」
と話すのだ。
なぜ、沙由里氏が重要なのかと言えば、先の刑事告発には沙由里氏も含まれている。その結果「嫌疑不十分」の判断。大村氏への政治資金提供は、真の寄付者は清水氏であるのに、沙由里氏に名前を偽装した可能性があるのだ。
これは、政治資金規正法の第二十二条の六〈何人も、本人の名義以外の名義又は匿名で、政治活動に関する寄附をしてはならない〉に該当する。
また、清水氏が取締役だった寿和工業は、1997年に3億円が申告漏れで修正申告、1987年には脱税で執行猶予付き有罪判決を受けている。
1996年の岐阜県御嵩町の柳川町長襲撃事件。その関連の刑事事件で、寿和工業が反社会的勢力に資金提供してきた実態は、本紙2019年5月号や柳川前町長の著書「襲われて」(岩波書店)に詳しい。
また脱税企業や経営者から政治資金を提供されて問題になったケースは、自民党の稲田朋美元防衛相、無所属の野田佳彦元首相など多数ある。
新型コロナウイルス感染拡大で、情報収集が困難であったため清水氏らに対しての検察審査会申立を一時、保留してきた。
だが、ここにきて、いくつもの情報を入手できたので近く申立を行う予定だ。
「清水氏は離婚しているようだが、毎年年末とかに、名古屋市の豪邸に元妻と子供と集まって、クリスマスパーティーをしているそうです。名進研小学校の関係者に聞いた話ですが、離婚しているのに、子供とは妻を交えて接しているらしい。この考えは庶民には理解できない」(前出・知人)
元大阪高裁判事 生田暉雄弁護士の検察庁法解説
公 開 質 問 状
2020年5月27日
内 閣 総 理 大 臣
安 倍 晋 三 殿
公開質問の趣旨
1.安倍は,令和2年1月31日,閣議を開き,令和2年2月7日定年退官する東京高等検察庁検事長黒川弘務の定年を違法に8月7日まで延長する閣議決定をした。
2.違法閣議決定以降,国会の質疑を空転させ,国会議員の業務を妨害した。
3.安倍は,国会議員の業務妨害に対し,国会議員及び主権者日本国民にどのように責任を取るつもりなのか,明らかにされたい。
公開質問の理由
一.〈閣議決定の検察官違法定年延長の根拠〉
1.検察庁法22条は,「検事長は,年齢が65年に達した時に,その他の検察官は年齢が63年に達した時に退官する。」と定められている。
この検察庁法22条の規定に基づき,黒川は,2月7日に63年に達し,退官する予定であった。
2.国家公務員法第81条の3で,「任命権者は,定年に達した職員が前条第1項の規定により退職すべきことになる場合において,その職員の特殊性又はその職員の職務の遂行上の特別な事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるときは,同項の規定にかかわらず,その職員に係る定年退職日の翌日から起算して1年を超えない範囲内で期限を定め,その職員を当該職務に従事させるため引き続いて勤務させることができる。」とされている。
黒川の任命権者である安倍は,この規定を根拠に黒川の定年後の勤務延長を閣議決定したものである。
3.しかし,検察庁法32条の2,国公法附則13条により,検察官の定年延長は,別の法律又は人事院規則によるべきで,国公法81条の3で閣議決定では出来ないことは,後に詳述する通りである。
二.〈検察官の定年延長を国公法に依拠することは違法であること〉
1.検察庁法32条の2は,検察庁法15条,18条ないし20条,22条ないし25条の規定は,国公法附則13条により,検察官の職務と責任の特殊性に基づいて,国公法の特例を定めたものとする,と規定する。
そして,国公法附則13条において,一般職に属する職員に関し,その職務と責任の特殊性に基づいて,この法律の特例を要する場合においては,別に法律又は人事院規則を以てこれを規定することができる,と規定する。
つまり,検察庁法22条(検察官の定年)の規定は,国公法の特例を定めたものであり,検察官の定年延長(国公法の特例を要する場合)は,別に法律又は人事院規則で対応すべきであるとするのである。
2.以上を背景として,81年の政府答弁で検察官の定年延長は,国公法81条の3によることは違法であるとされていたのである。
3.いずれにしても,検察官黒川の定年延長を国公法81条の3にもとづき閣議決定することは,違法である。
81年の政府答弁の変更,国公法81条の3の解釈の変更の問題ではない。
新たな別の法律又は人事院規則によるべきであって,閣議決定で黒川の定年延長をすることは違法である。
〈検察の中立性,独立性は民主主義の根幹である。三権分立の実質的要素である。検察庁法,国公法は検察の中立性,独立性を強く確保するソフト面の規定を不可欠とする。〉
1.倉山満著「検証検察庁の近代史」光文社新書の巻末「検察庁・略年表」(甲第1号証)でも明らかなように,検察は,国会議員,各種大臣,内閣総理大臣等,社会のあらゆる階層の人々の犯罪を捜査,起訴できる。
検察の歴史は政府との闘争の歴史であるといっても過言ではない。
検察は,特別の忖度をせず,政権の犯罪の捜査,公判を担当できなければならない。
検察権が,政権の意向で左右されることになれば,民主主義の根幹がくずれ,三権分立の実質的基礎が危うくなる。
内閣が検察官の定年延長をする権限を有することになると,内閣の好む検察官の定年が延長され,検察官は内閣に忖度するようになり,検察の中立性,独立性が侵害される。
2.そこで,検察の実質を決定する検察庁法にあっては,検察官の資格,権限,定年等を定めるハード面だけでなく,検察権が,時の政権の意向によって,中立性,独立性が左右されないよう,検察の中立性,独立性を強く確保する,いわばソフト面の規定が必要不可欠である。
それを定めたものが,検察庁法32条の2であり,国公法附則13条である。
3.検察庁法32条の2,国公法附則13条では,検察官を国公法上の特別職とすることではなく,国公法上の一般職のまま,「その職務と責任の特殊性に基いて,国公法の特例を要する場合」であり,「別に法律又は人事院規則(場合によっては特例)を以て」,検察官の定年延長に対処すべきことを規定する。
これが,国公法,検察庁法が規定する検察の中立性,独立性確保のソフト面の規定である。
4.法の解釈,運用をするものにとって,検察庁法の重要性が,ハード面,ソフト面のいずれにも重要性がある点を察知しなければならない。
検察庁法を検討して,同法32条までがハード面の規定であると察知すれば,残る32条の2が唯一ソフト面の規定であると思慮して,32条の2の緻密な検討をしなければならない。
5.検察の中立性,独立性を確保する重大なソフト面の規定が,一見しては,それと気づかれないような規定の体裁をとっていることさえあるのである。検察庁法32条の2,国公法附則13条が正にそのような規定なのである。その点を見落とさないで,しっかりと配慮する必要性があるのである。
〈安倍による議論の枠組設定と,それにとらわれた不毛の議論〉
1.安倍は,検察官黒川の定年延長を,国公法81条の3による,任命権者(内閣)の一般職員の定年延長の問題であると設定する。
2.国公法81条の3で,任命権者(内閣)が職員の定年延長をすることができること,国公法2条4項で国公法は一般職に適用されること,同条5項で特別職には適用がないこと,同条3項で17職種について特別職の規定があるがこれに検察官は含まれていないこと,これらによれば,国公法81条の3で内閣は検察官の定年延長ができると即断し,これまでの政府答弁の変更,国公法81条の3の解釈の変更と主張可能のように考えられないわけではない。
3.安倍に反対する論者は,検察の中立性,独立性が犯されることを強調して反論する。
そこに欠けている点は,日本国は法治国家であり,事案に関係する検察庁法,国公法を全面的,詳細に検討する姿勢の欠如である。
検察庁法32条の2,国公法附則13条を適用すれば,検察の中立性,独立性が確保されるソフトの規定があり,安倍の論拠を簡単に論破できるのにこれが出来ないのである。
4.安倍は,検察の中立性,独立性を知らない訳は無く,検察庁法32条の2や国公法附則13条を知った上で,あえて,これを議論の枠組から外していると考えられる。
5.安倍の反対論者は安倍の設定した議論の枠組内で反論し,今少し,検察庁法,国公法を鳥瞰すれば検察の中立性,独立性について決定的な根拠を得られるのに,それをすることが出来ない。
安倍にとっては,赤子の手をヒネルような反対論者の反応であろう。
黒川が賭け麻雀で辞職しても次期国会で,再度法案を提出する決意であろうと推測可能である。安倍にとって,反論者の与し易さが見て取れたのである。
6.反対論者のいたら無さがあるからといって,国会を空転させ,国会議員の業務を妨害した安倍の責任が軽減されるわけではない。
〈結論〉
公開質問の趣旨の求めた解答を求める。